社会の転換期

視点が変わると見え方も変わる


| 葬儀 | 新たな生命 | のけ者 | いじめ | 家柄 | 精神的なユニフォーム | 飼い慣らされた島 |
| 都合が良い鈍才 | 役割を演じる | 暗い疑念 | 正反対な振る舞い | 男の結婚観 | 女の結婚観 |
| 金と顔の交換 | 見る男、見られる女 | 分身である子ども | 切々と綴る母 | めぐみへの手紙 |
| 肩身の狭い社会 | 劣化する社会 | 転換期 | 社交の場 | 嘘が世界の秩序 | どうでもよい真実 |
| 思うように生きられない | 受動的な存在 | 車輪の下敷き | ペット | ルールを願う |
| してやれたことを怠る | 復讐するは我 | 社会と個人 | 名のない草の宿 | 個人化する日本人 |
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死者と生者の共同性
大きく変化している日本の葬儀

横浜ドリームランド(遊園地)の跡地に出来た横浜市営墓地「メモリアルグリーン」
プレート型の墓石には、塔婆はなくお線香は禁止されています


近年、葬儀の縮小化や小規模化が進展し、火葬のみで儀礼を行わない「直葬」

も増加している。また墓の無縁化がすすむとともに、「墓じまい」と称して墓の

改葬や廃止も増えている。そして従来の墓に代わって、散骨や樹木葬といった

新たな葬法も誕生している。さらに社会的に孤立して亡くなり発見が遅れる

場合や、近親者がいたとして引き取られない遺骨も増加している。



※死者と生者の共同性−葬送墓制の再構築をめざして− 2018.12
 趣旨説明 山田慎也 先生 国立民族歴史博物館 准教授
 第109回歴博フォーラム
 主催 国立歴史民俗博物館
 共催 早稲田大学人間科学学術院
 会場 早稲田大学大隈記念講堂大講堂



○私たちの生涯|生と死の狭間にある「時」を歩む


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困難の上に誕生する
新たな生命



10ヶ月間、身体的・心理的にラディカルな変化を経て、いよいよ分娩のときを

迎える。たとえ「母親教室」「出産準備教室」において、ある程度の準備は

なされていたとしても、「出産・分娩」はやはり大変である。



「陣痛」が胎児をこの世に生み出すために無くてはならない、「子宮収縮」で

あると理解していても、次第に頻度・強さを高めて波のように押し寄せる痛み

をどのように逃がすかというだけでも、至難である。



…長時間に及んだ分娩がようやく終了して、無事出産にたどり着いた後が

実は大変である。多くの場合は、生まれた子どもは新生児室へ。今や正真

正銘の「母親」となった女性は、分娩後の急激な悪い身体的変化が起こる

といけないとの理由でしばしば分娩室に取り残される。



そして、これまで関心を向けられ、大事にされていると思っていた女性は、

周囲の関心が今や、一斉に生まれた赤ちゃんの方向に急激に向かって

いること、大変な思いをして産んだ「自分」は、せいぜい二番目の存在と

なっていることを突如意識させられ、ここにいわゆる「マタニティブルー」

という「症状」が発生することになる。



※心理カウンセリング序説
 講師 大場登 先生 放送大学教授
 第1章 セラピストと「聴く」こと−「受けとめる」こと
 3.「扱いの難しい事情」と「症状」 p17



○大地に宿る命|移ろい行く時の狭間に力の限り咲く花


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幼少期に学ぶ
のけ者にされる恐怖

小学校の運動会


※「菊と刀」 ベネディクト, 角田安正(訳) 光文社古典新訳文庫 2008
 第12章 子どもは学ぶ p452-453


子ども時代の後期になると、個人的な満足のうち、あきらめろと命じられる

ものが多くなる。だが、見返りが約束される。それは、「世間」に認められ、

受け入れられるということである。罰は、「世間」から笑い物にされるという

ことである。言うまでもなく大半の文化では、子どものしつけに際してこう

した強制力に頼っている。



だが日本では、その強制力がことのほか重くのしかかってくる。「世間」

からのけ者にされるという状況は、子どもの目には、両親から「よそに

やってしまう」と申し渡される一幕を通じて大いに強調される。



子どもはその後の一生を通じて、のけ者にされることを、暴力をふるわ

れること以上に恐れる。嘲笑されたり、のけ者にされたりする怖れに

対して過剰な反応を示す。自分の頭の中にそのような有様を想像する

だけでも同様の反応が起こる。



日本の共同生活の場には個人のプライバシーはほとんどない。

そのような事情もあって、やることなすことすべて「世間」に知れ渡る。

また「世間」から失格の烙印を押されれば爪弾きされる。



○子どもたちに会いにいく旅|遊びの中に未来がある こどもの国

○ずっと誰よりも大切なキティへ

○松山賛歌|「坊ちゃん」に学ぶ日本人の精神性


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ヒトは
「いじめ」をやめられない



※ヒトは「いじめ」をやめられない 中野信子 小学館新書 2017
 はじめに p12-13


いじめは、子どもの世界だけでなく、大人の世界にもあります。そして、時代

や国を問わずどこでも存在します。



昔から日本には凄絶な(せいぜつ⇒非常に凄まじい)「村八分」があり、クー・ク

ラックス・クラン(KKK⇒米国の白人至上主義による秘密結社)にしても、ネオ

ナチ(ナチズムを正当化する勢力)にしても、『正義』の名の下に、時には対象者

が死に至るほどの過激な制裁・排除行動が行われてきました。いじめは学校

だけでなく、企業やママ友グループ、スポーツチーム、地域コミュニティなど、

集団の中では必ず起こりうる現象です。



近年、こうした人間集団における複雑かつ不可解な行動を、科学の視点で解き

明かそうとする研究が世界中で進められています。



その中でわかってきたことは、実は社会的排除は、人間という生物種が、

生存率を高めるために、進化の過程で身につけた「機能」
なのではないか

ということです。



つまり、人間社会において、どんな集団においても、排除行動や制裁行動

がなくならないのは、そこに何かしらの必要性や快感があるから
、という

ことです。



○人間的なるものの別名|愛するあまり滅ぼし殺すような悪

○プリマヴェーラ|悲劇によって道義を知る「虞美人草」


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家柄に依存する
キャリア・パス

Schiltach (シルタッハ・ドイツ)
バーデン=ヴュルテンベルク州・シュヴァルツヴァルト(Schwarzwald:黒い森)


※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第1章 p11


彼の将来は決定され、揺るぎないものになっていた。なぜならシュヴァーベン

(⇒ドイツ南西部)という土地では、両親が金持ちでない限り、才能ある男の子

にはたった一つの細い道しか用意されていなかったからだ。



○アルプスの風が立つ|厳しくも美しい山岳景勝地 甲信

○大井埋立地にみる森里海のつながり


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精神的なユニフォームによって
平均化される



※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第3章 p90-91


人間は一人一人なんと違うことだろう、そして育つ環境や境遇もなんとさまざまな

ことだろう! 政府は自らが保護する学生たちのそうした違いを公平かつ徹底的に、

一種の精神的なユニフォームやお仕着せによって平均化してしまうのである。



○権力を表象してきた建造物|日本人の自我主張

○あるがままの生の肯定|フリードリヒ・ニーチェ

○個性化の過程|自分が自分になってゆく


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飼い慣らされた
どこかの島

「飼い慣らされた島(日本)−愛の島」 マップオフィス 2017
「Domesticated Island(Japan)−Island of Love」 MAP Office
ヨコハマトリエンナーレ2017 「島と星座とガラパゴス」 横浜美術館


※1Q84 村上春樹 新潮社

  「集まり」の中で暮らす大人たちは、その外にある世界のあり方を嫌っている。

  自分たちの住んでいる世界は、シホンシュギの海の中に浮かんだ美しい孤島

  であり、トリデなのだ、と彼はことあるごとに言う。




※毎日新聞 村上春樹インタビュー 2008年5月12日より


  僕が今、一番恐ろしいと思うのは特定の主義主張による「精神的な囲い込み」

  のようなものです。多くの人は枠組みが必要で、それがなくなってしまうと耐え

  られない。オウム真理教は極端な例だけど、いろんな檻(おり)というか囲い込み

  があって、そこに入ってしまうと下手すると抜けられなくなる。



  物語というのは、そういう「精神的な囲い込み」に対抗するものでなくてはいけない。

  目に見えることじゃないから難しいけど、いい物語は人の心を深く広くする。

  深く広い心というのは狭いところには入りたがらないものなんです。



○日本人の心を形成してきたもの

○山形の不易流行|「変わらないもの」と「変わりゆくもの」


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天才が一人いるよりも
鈍才が十人いる方が都合が良い

スイスの小説家 ヘルマン・カール・ヘッセ (Hermann Karl Hesse, 1877-1962)
ドイツ・シュヴァーベン生まれ、1946年ノーベル文学賞受賞


※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第4章 p154-155


…学校の先生はクラスに天才が一人いるよりも、正真正銘の鈍才が

十人いる方を喜ぶのである。それはもっともなことである。というのも、

教師の課題は極端な人間を育てることではなく、ラテン語や計算の

できるよき小市民を養成することにあるからだ。



教師と天才のどちらがより多く、重大な苦しみを相手から受けているか、

二人のうちどちらがより暴君で駄々っ子であるか、どちらがどちらの魂

や人生の一部を台無しにし汚しているか。そうしたことについては、自分

の青春を思い出し、憤慨したり恥辱を覚えたりすることなしには探求でき

ない。



しかしこれはいまの我々の主題ではないし、真の天才の場合、ほとんど

いつもそうした傷はふさがり、学校に反抗しながらもよき成果をあげる

ものであるから、我々は安心してよいのだ。



やがて彼らが死に、はるか彼方で心地よい後光に包まれるようになると、

他の世代の生徒たちに向かって学校の教師が、その天才をすばらしい

人物、高貴な例としてほめそやすようになる。そういうわけで、学校や時代

が変わっても掟と精神のあいだの闘争という茶番劇がくりかえされ、我々

は常に国家と学校が、毎年出現する何人かの価値ある深遠な精神を、

たたき殺し根元で折り取ろうと息を切らして努力している様子を目撃する

のである。



そして、後々になって我が国民の宝を豊かにしてくれるのは相も変わらず、

とりわけ学校の教師から憎まれ、しばしば罰せられ、道を踏み外し追放

された輩なのである。しかし多くの者は─どれくらいの数になるか誰が

知ろう?─静かな反抗のなかで消耗し、破滅していくのだ。



○ありのままの自分|Here I stand and here I'll stay


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役割を演じる人間
虚栄の中をさ迷う

「コメディ・フランセーズの俳優たち(1720年)」 アントワーヌ・ヴァトー


※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第4章 p156


校長はなかなかできた人間で、洞察力も現実的な賢明さも備えていた。

それどころか自分の生徒に対して一種のお人よしな親切心も持っていた。

生徒たちを彼は好んで「du(きみ)」と呼んでいた。



彼の主要な欠点は、虚栄心が強いことにあった。この虚栄心のために

彼は教壇の上でしばしば自慢話をしてしまったし、自分の権力や権威が

ほんの少しでも疑問視されるような場面に耐えられないのもこの虚栄心

のせいだった。



彼は相手の言い訳を我慢できなかったし、自分の間違いを告白すること

もできなかった。そのために、意志の弱い生徒や無口な生徒は校長と

うまくいったが、力があって正直な生徒ほど校長には苦労させられた。

ほんのちょっと反論をほのめかすだけで、校長は声を荒らげ、不当な

態度をとったからだ。



相手を励ますまなざしと感動したような口調を備えた父親のような友人、

という役柄を彼は名人のように演じることができた。そしていまも、その

役を演じていた。



○善と悪を兼ね備える人間|善の基礎となる個人性の実現


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暗い疑念を
自分の魂から追い出す

「生者の仮面V」 エミール・ノルデ
「Mask Still Life III (1911)」 Emil Nolde


※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第5章 191-192


校長はハンスを励ますようように心を込めて「また会おう」と挨拶はしたものの、

その後ヘラスの部屋(⇒ハンスがいた部屋)に足を踏み入れて三つの空席を

見るたびに気まずい気持ちになり、二人の優秀な生徒が消えてしまったこと

について自分に責任の一端があるのではないかという考えを押し殺すのに

苦労していた。



しかし、肝のすわった道徳的な人間である校長は、こうした無益で暗い疑念

を自分の魂から追い出すことに、結局は成功したのだった。



※抑圧
 意識すると不安や不快、罪悪感を感じるような容認しがたい観念や記憶を
 意識から追出し、無意識の中に閉じ込めようとする自我(エゴ)の働き。
 S.フロイトによって提唱された防衛機制の一つで、他の防衛機制とセットに
 なって作用する。



○最も進んでいないイノベーション|人間に関する知識


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無意識の欲求が現れないよう
正反対に振る舞う

作られた微笑み


※「アンナ・カレーニナ 1」 トルストイ 望月哲男(訳) 光文社古典新訳文庫 2008
  第1部 17章 p156


…ふとわれに返った彼(⇒青年将校ヴロンスキー)は、母親のこと、差し迫った

出会いのことを思い出した。内心では彼は母を敬っていなかったし、はっきり

とは自覚しないままに、母親を嫌っていた。ただし彼の階層(⇒貴族)の常識から

して、また受けてきた教育からしても、母親に対しては最高度の恭順(きょうじゅ

ん⇒慎みのある態度)と敬愛のほかにとるべく態度はありえなかったので、内心

の敬意や愛情が薄まれば薄まるほど、表面ではますます恭(うやうや)しく奉

(たてまつ)るような態度をとってきたのであった。



※反動形成
 無意識になっている欲求が意識や行動に現れないよう、それと反対の行動
 を強調する。例えば、本当はとても嫌いな人に対して、過度に親切にする
 とか、相手の失敗を内心は喜んでいるのに表面上は強く同情したりする。
 そのため、不自然さやわざとらしさがつきまとう。この傾向が強いと神経症
 状となる。S.フロイトによって提唱された防衛機制の一つ。


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男子学生の結婚観
子ども好きな女性を求めるその背景



※「結婚の条件」 小倉千加子 朝日新聞社 2003
  夢追う男 男子学生の結婚の条件 p179-180


結婚相手に求める条件として「金遣いが荒くなく、子ども好きで、美人」

と書いてくるのがよくある。金遣いが荒くない人というのは、学生が自分

の収入が低いことを悟っているようで、なにか胸が熱くなる。



しかし、できれば専業主婦として家にいてほしいという希望はとても強く、

自分(夫)の稼ぎの中でやりくりして工夫してほしいという希望は、妻に

経済力があれば自分が大切にされなくなるという、オスとしての動物的

直観のようにも思える。



子ども好きと言う場合の子どもとは、もちろん自分(夫)の直喩(ちょくゆ

⇒たとえ)なのだ。僕を大切にして、僕を可愛がって、という希望には、

ハイハイと言うしかないが、そこに突然美人と来ると、オイオイと思う。

もっとも、「自分のような男に美人が来てくれるはずはないが」とか、

書き足してあると、また切なくなってしまうのである。



○人間の心のあり方を理解する|日本人の精神性を探る旅


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女子学生の結婚観
打算を隠蔽したもの



※「結婚の条件」 小倉千加子 朝日新聞社 2003
  純愛の消失 中流階級の娘の「お嬢さま化」 p28、p30-31


女子学生の結婚相手に求める条件は、打算を隠蔽したものである。

無私無欲でイノセントな部分を印象づけないと女性のジェンダーは

評価されないから、打算はなんとしても隠しておかなければならない。

そこで状況はややこしくなってくる。モノ欲しそうにしないで、すべては

「偶然の出会い」によって起こったようにしなければならない。



合コンは友人に誘われて初めて来ましたとか、結婚情報サービス

会社に登録するのは土壇場の選択で、そこまでして結婚したくない

とかは、多くの女性が口にする。



…女性の最終学歴は、どうやって決まるのだろうか。人は、自分の学歴

は自分で決めたと僭越(せんえつ⇒自分の立場を越えて出過ぎたこと)

なことを思っている。が、女性の学歴は、父親の学歴・職種・所得つまり

出身階層によって自動に決まる。



…日本では、子どもの教育費を親が負担するので、教育投資が高い

家庭では高学歴・高学校歴を子どもに付けさせることができる。

学歴は、階層の重要なメルクマールである。



○セクシュアリティとジェンダー|文学にみる女性観


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結婚とは
「カネ」と「カオ」の交換



※「結婚の条件」 小倉千加子 朝日新聞社 2003
  純愛の消失 中流階級の娘の「お嬢さま化」 p28-29


結婚とは、女性と男性が持つ資源の交換であり、自分の資源を棚に上げて、

相手にばかり要求水準を高くしても、永遠に「適当な相手」は見つからない。

自分の資源価値(市場価格)を、直視することは難しい。



大学生を対象にアンケートを取ると、女性が男性に求める最大の条件は

「経済力」であり、男性が、容易には口にしないが本音のところ固執して

いるのは「美人」であることである。結婚とは「カネ」と「カオ」の交換であり、

女性は自分の「カオ」を棚に上げて「カネ」を求め、男性は自分の「カネ」を

棚に上げて「カオ」を求めている。



誰か本当のことを教えてやらねばならない。が、女性たちが諦められない

のは、他ならぬ「うちの娘に苦労させたくない」と考える親たちが、中流家庭

の娘たちをお嬢さまとして既に育ててしまったからである。戦後日本の庶民

の階層上昇の夢は無数の「苦労したくない、したこともない」娘たちを生み

出した。



○財政健全化への取組み|失われた25年から学んだこと


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見る男、見られる女
能動と受動

「桟敷席にて」 メアリーカサット ボストン美術館
「In the Loge (1878)」 Mary Cassatt Museum of Fine Arts, Boston


2015年に公開された映画「The Danish Girl (邦題:リリーのすべて)」は、

男性が自分の内面にある女性性に目覚めてゆく性的マイノリティの話。

原作は、世界で初めて性別適合手術(男性⇒女性)を受けたデンマーク

の画家リリー・エルベを題材としているそうです。



女性性に目覚めた主人公のアイナー(男)は、女装して妻と共にパーティ

に出かけると他の男たちから見られていることに気づき戸惑います。

そんな夫に妻ゲルダは慣れるよう諭します。



絵画は、アメリカの画家メアリー・スティーヴンソン・カサットの「桟敷席にて」。

パリの劇場コメディー・フランセーズにてオペラグラスを覗く女性の左上には、

その女性を覗く男性の姿が描かれています。



○移ろいゆく映画の灯り


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分身である子ども
さらわれた子どもを探し求め狂ってしまう母



※「賤機帯(しずはたおび)」 作曲:10代目 杵屋六左衛門(きねやろくざえもん) (部分)


  …春も来る 空も霞の瀧の糸 乱れて名をや流すらん 笹(⇒狂女を暗示)

  の小笹(おざさ)の風厭(いと)ひ 花と愛でたる垂髫子(うないこ⇒子ども)が

  人商人(ひとあきんど⇒人身売買)に誘はれて 行方いづくと白木綿(しら

  ゆう)の 神に祈りの道た尋ね 浮きて漂(ただよ)ふ岸根の舟の こがれ

  こがれていざ言問はん 我が思ひ子の 有りや無しやと狂乱の 正体

  なきこそあやなけれ(文無けれ⇒理不尽だ) …




長唄(歌舞伎舞踊の三味線音楽)の「賤機帯(しずはたおび)」は、人さらいに

さらわれた自分の子ども・梅若を探し求め狂ってしまう母親の物語。



桜の咲く隅田川のほとりをさ迷う女を目にした渡し船の船頭は、女をからかい、

網で隅田川に落ちた桜の花びらを掬(ひろ)い集めたら子どもの居場所を教

えてやると伝えます。女は黒髪を乱しながらも一心不乱に桜の花びらを掬い

続けます…



長唄「賤機帯」は、能の「隅田川」「桜川」「《班女(はんじょ)」の趣向をあわせて

創作されたもので、女が舞い狂う場面で終わりますが、能「隅田川」では船頭

から子どもが亡くなったことを知り、供養の場面で子どもの亡霊が現れるという

物語になっています。



※連獅子の「楽の合方」を弾こう 2018.12
  講師 神宮寺淑子 (岡安喜三淑) 先生 二期会会員・岡安会会員
  放送大学神奈川学習センター



○日本の伝統演劇|舞台芸術の根源的な魅力

○古くから親しまれてきた百花の王 牡丹


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一目会いたいとの気持ちを
切々と綴る母

野口英世に宛てた母・野口シカの手紙 (部分) 明治45(1912)年
野口英世記念館


息子・野口英世が渡米して12年。ほとんど字を書くことがなかった母シカは、

息子に宛てて一目会いたいとの気持ちを切々と綴ります。



ワープロを活用し、定型文を引用する場面が少なくない現代。

野口シカの手書きの文面からは強烈な想いがひしひしと伝わってきます。



○母・野口シカの手紙 (現代語)


  お前の出世には、皆たまげました。わたくしも喜んでをりまする。

  (中略)

  春になると、みな北海道に行つてしまひます。

  わたしも、心細くありまする。

  どうか早く来てくだされ。

  金を貰うたこと、誰にも聞かせません。

  それを聞かせると、みな飲まれてしまひます。

  早く来てくだされ。

  早く来てくだされ。

  早く来てくだされ。

  早く来てくだされ。

  一生の頼みでありまする。

  西さ向いては拝み、東さ向いては拝みしてをります。

  北さ向いては拝みをります。南さ向いては拝んでをりまする。

  一日には、塩断ちをしてをります。

  栄昌様に一日には拝んでもろてをりまする。

  なにを忘れても、これ忘れません。

  写真を見ると、戴いてをりまする。

  早く来てくだされ。

  いつ来ると教へてくだされ。

  これの返事待ちてをりまする。

  寝ても眠られません。




母シカの手紙から3年を経た大正4(1915)年。野口英世は15年ぶりに帰国し、

母との再会を果たします。2ヶ月の滞在後に再び渡米し、その後二度と日本

の地を踏むことはできませんでした。母シカは息子との再会を果たした3年

後にスペイン風邪を患い生涯を閉じます。


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めぐみへの手紙
あなたを必ず助け出します

初めて母親の着物に袖を通した横田めぐみさん(当時12歳)。
1977年1月新潟市の自宅前で父 滋さん撮影。


北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん(拉致当時(13))が、2018年10月5日、

54歳の誕生日を迎えました。父の滋さん(85)が療養する中、母の早紀江さん

(82)が思いを寄せています。



○めぐみへの手紙 (部分)


  めぐみちゃん、こんにちは。誕生日を迎え、あれほど小さくて、あどけなかった

  あなたが、54歳になります。一刻の重みを強く感じながら、途方もない思いに

  襲われます。

  お父さんは今日も、写真の中でほほえむめぐみちゃんの姿に元気をもらいな

  がら、一生懸命、リハビリに励んでいます。お母さんも元気な姿であなたを抱

  きしめるため、日々前を向いて救出を願い続けています。

  あなたが北朝鮮に連れ去られ、姿を消してから、すでに41年も誕生日を重ね

  てしまいました。「おめでとう」と、素直に伝える気持ちにはなれません。これ

  ほど長く、助けてあげられなくて、本当にごめんね。…



※日本国政府:北朝鮮による日本人拉致問題

※〜夢と絆〜 2018.12
 講師 蓮池薫 先生 新潟産業大学経済学部准教授
 会場 泉公会堂
 平成30年 横浜市泉区人権啓発講演会


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意欲のある人が
肩身の狭い思いをして過ごさざるを得ない社会



※残っても地獄、辞めても地獄……多くの日本人が悩む働き方の現実 (部分)
 伊藤慎介 ITmedia ビジネスオンライン 2018.12.6


…業績低迷が長年続く大企業について、「うちの本社の幹部は自分のポスト

と個室と運転手付きのクルマのことばかり気にして、会社や事業のことは誰

も本気で考えていない」と語っていた人がいた。また、とある大企業の役員

は社内の大半が「傍観者」になっていると嘆いていた。



…既得権益をできるだけ長く維持し、何とか小手先の対策だけで乗り切ろうと

するので何十年かかっても生産性は上がらず、低成長やデフレからも脱却

できないのが今の日本の現状ではないか。



…日本はまだまだ肩書き社会なので、今の会社名や肩書きがなくなった

ときに社外の人や同僚が変わらなく付き合ってくれるかというと、それは

全く未知数であるということだ。



…日本は世界と比べて圧倒的に挑戦者や意欲のある人が肩身の狭い

思いをして過ごさざるを得ない社会であるということだ。



○破壊と再生|日本型うつ病社会に別れを告げて


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劣化するオッサン社会
劣化は必然

JR品川駅 コンコース


※死もまた社会奉仕 石橋湛山

 急激にはあらず、しかも絶えざる、停滞せざる新陳代謝があって、初めて

 社会は健全な発達をする。人は適当の時期に去り行くのも、また一つの

 意義ある社会奉仕でなければならぬ。




※劣化するオッサン社会の処方箋 なせ一流は三流に牛耳られるのか
 山口周 光文社新書 2018
 第3章 劣化は必然 二流の権力者は一流を抹殺する p41-43


…二流の人間が社会的な権力を手に入れると、周辺にいる一流の人間を

抹殺しようとします。



…かくしてその組織は、二流のリーダーが率い、三流のフォロワーが脇を

固める一方で、一流と二流の人材は評価もされず、したがって重用もされ

ず、日の当たらない場所でプスプスと燻(くすぶ)ることになります。



…組織の劣化は不可逆的に進行し、世代が変わるこどにリーダーのクオ

リティは劣化していきます。これが、現在の日本の多くの組織で起きてい

ることでしょう。世代論・年代論の構造的問題に加えて、リーダーのクオリ

ティが経時劣化するという問題が輪をかけている、というのが今の日本の

状況です。


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転換する時期にきている
日本の価値観

高崎山自然動物園(大分市) B群の子猿


※旧約聖書ヨブ記 32章9節

 年老いた者が賢いとは限らず、年長者が正しいことを悟るとは限らない。




※劣化するオッサン社会の処方箋 なせ一流は三流に牛耳られるのか
 山口周 光文社新書 2018
 第5章 なぜ年長者は敬われるようになったのか
 大きな変革が求められる社会システム p115-116


年長者が尊重され、大事にされる社会やコミュニティであればこそ、若者

も中年もまた、将来は社会やコミュニティが尊重し、大事にしてくれると

感じ、安心して働いて税金を納めていたのではないでしょうか。



私たちの社会システムは、基本的にすべてこのような、年長者ほど能力

も見識も高く、であるがゆえに地位も報酬もまた高い、という前提の上に

成り立っています。しかし、すでに考察してきたように、この「年長者ほど

能力も見識も高い」という前提は、おそらく今後は成立し得ない。年長者

だからといって、別に能力や見識に優れているわけではない、むしろ若者

の方が優れているのではないかと多くの人が考えるようになれば、現在

の社会システムとは大きな齟齬(そご)が生まれることになります。



○自然と人間のつながり|日本一の「おんせん県」 大分


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現代にも通じる社会関係
社交の場

「忘れえぬ女(見知らぬ女)」(1883) イワン・クラムスコイ トレチャコフ美術館
トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」がモデルともいわれます


※「アンナ・カレーニナ 1」 トルストイ 望月哲男(訳) 光文社古典新訳文庫 2008
 第2部 4章 p316-317



ペテルブルグの上流社会は本来ただひとつしかなくて、皆お互いを知っている

ばかりか、互いの家を訪問しあう関係だった。



だがこの大きな上流社会は、おのずと小さなグループに分かれていた。一つは

夫の仕事関係の公的なグループで、夫の同僚や部下たちからなっていたが、

その成員は種々の社会的条件によって、きわめて多様で偶然的な形で離合

集散をくりかえしているのであった。はじめてこのグループの人々に接したとき、

アンナはほとんど崇敬に近い感動を覚えたものであったが、今ではかろうじて

記憶の片隅に残っているに過ぎない。



今や彼女は、ちょうど田舎町に住む人々が互いのことをよく知っているように、

このグループの人々のことを知りつくしていた。誰それはどんな癖があり、

どんな道楽があるか、誰のどちら側の靴が足に合わないのかというような

ことも知っていたし、この人々のお互い同士の関係、およびグループの中心

人物との関係のあり方も知っていた。誰が誰の子分であり、その関係はいか

に、何によって保たれているのか、誰とどこでどうくっついたり離れたりして

いるのかということも知っていた。


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嘘が世界の秩序となる
真実ではなく必然だと考えればよい

「告白」 ジュゼッペ・モルテーニ
「La confessione」 1838 Giuseppe Molteni (Fondazione Cariplo)


※「訴訟」 フランツ・カフカ, 丘沢静也(訳) 光文社古典新訳文庫 2009
 大聖堂で (「道理の前で(掟の前で)」を語った後の聖職者とKのやりとり)



「誤解しないでもらいたい」と、聖職者が言った。「私はね、この物語(⇒道理の

前で)にかんする、いろんな意見を紹介しただけだ。意見というものを過大評価

する必要はない。書かれたものは不変だが、意見というのは、しばしば、その

ことに対する絶望の表現にすぎない。…」 (p327)




…聖職者が言った。「すべてを真実だと考える必要はない。ただ必然だと考え

ればいい」。「憂鬱な意見ですね」と、Kは言った。「嘘が世界の秩序にされる

わけか」 (p332)



○「道理の前で」 フランツ・カフカ. 大久保ゆう(訳) - 青空文庫


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本当なんてどうでもよい
皆の信じたことが「歴史」と呼ばる

ミュージカル「ウィキッド」 アポロ ヴィクトリア劇場 (ロンドン)


※ミュージカル「ウィキッド」
 「ワンダフル」 作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ (部分)


(エルファバ)

 そうしてあなたは嘘をついた。


(オズの魔法使い)

 エルファバ、私が前にいたところでは、人々は多くの本当でないことを

 信じていた。人々はそれを「歴史」と呼んでいたよ。


 反逆者と呼ばれた男たちは解放者と呼ばれ、

 金持ちは泥棒、それとも慈善家、

 十字軍か、はたまた残虐な侵略者か、

 結局どちらの名前が生き残れるかということ。

 お気楽で曖昧な少数派もいるけど、彼らは存在しなかったことにする。


 人は私を「ワンダフル」と呼ぶ。

 だから私はワンダフル。

 事実、それは私の名前の一部になっている。




※Musical「Wicked」
 「Wonderful」 Music/Lyrics: Stephen Schwartz

(ELPHABA)
 So you lied to them.

(WIZARD)
 Elphaba, where I'm from, we believe all sorts of things
 that aren't true. We call it - "history."

 A man's called a traitor - or liberator
 A rich man's a thief - or philanthropist
 Is one a crusader - or ruthless invader?
 It's all in which label is able to persist
 There are precious few at ease with moral ambiguities
 So we act as though they don't exist

 They call me "Wonderful"
 So I am wonderful
 In fact - it's so much who I am it's part of my name



○共に居ること、創ること|周囲から影響を受け、影響を与えてきたイギリス


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ミュージカル「ウィキッド」 「ワンダフル」
Reg Livermore & Jemma Rix - Wonderful - Wicked The Musical

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思ったように生きられる人間は
どれほどいるのだろうか



※「女の一生」 モーパッサン, 永田千奈(訳) 光文社古典新訳文庫 2011 p435


  そして、ロザリは、自身の思いに応えるようにつけ足した。

  「ねえ、ジャンヌ様、人生ってのは、皆が思うほど良いのでも、

  悪いものでもないんですね」




ソニー生命鰍ェ調査した中高生が思い描く将来についての意識調査2017によると、

中学生の将来の夢は「安定した毎日を送る」が38.5%で最も多く、高校生では「安定

した毎日を送る」は42.4%と、やはり最多だったそうです。



○困難を伴う自我の開放|森鴎外「舞姫」にみる生の哲学


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自分の力で物事を選択できない
人間は受動的な存在

渋谷ハロウィン


※「海辺のカフカ」 村上春樹 新潮文庫 2005


つまり彼にとって、自分で判断したとか選択したとか、ということって

ほとんどなにもないんです。なんていうのかな、すごく受け身です。

でも僕は思うんだけど、人間というのはじっさいには、そんなに簡単

に自分の力でものごとを選択したりできないものじゃないかな


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車輪の下敷きになって
もがき苦しむ人間の姿



運命に翻弄され、エリート路線から脱落したハンス。ドイツ語で「車輪の下

敷きになる」という言い回しには、「落ちぶれる」という意味があるそうです。



○絶望から美しさを見い出す|太宰治「人間失格」

○苦しみに満ちている人間の生からの救済|ショーペンハウアー


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心の安らぎや生き甲斐を
ペットに求める

チワワ|日本で最も多く飼われている犬
平成30年全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)


近年、家庭で飼育されている犬・猫の増加は著しく、犬は892万頭、猫は953万

頭にのぼり(2017年10月現在、ペットフード協会調査)、単純計算で6.9人に1人、

2.9世帯に1世帯が犬や猫を飼っていることになるそうです。



その背景には、私たちの生活の中で犬や猫を飼う余裕ができたこと、核家族

化や少子化が進み、個人の愛情を向ける対象としてペットの存在が大きくな

っていることが挙げられています。



ペットの愛らしい姿や家に帰ってくると尻尾を振って迎えてくれるといった仕草は、

人に心の安らぎと癒しを与えてくれます。また、ペットを子どもに見立て、自らを

パパ・ママと名乗ったり、他の飼い主のことを○○ちゃん(ペットの名前)のパパ・

ママと呼ぶことも普通に見られるようになりました。



犬や猫といったペットは、コンパニオン・アニマルとして家族同様に扱われるよう

になり、食事や睡眠を一緒に過ごす人々も多くみられるようになっています。



※人と動物の共通感染症を知る 2018.12
 講師 丸山総一 先生 日本大学生物資源科学部教授
 放送大学神奈川学習センター


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ルールがあって欲しいと願う
日本人

イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ
「Portrait of Galileo Galilei」(1636) Justus Sustermans


個人が一様に多忙な、画一化された、余裕のない生活を強いられる時代。



これまで日本は、物事に取り組む際にルール遵守を求めてきたことから、

日本人はルールから逸脱することに苦手となり、ルールを尊び、ルールが

あって欲しいと願う傾向があるといいます。



イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが望遠鏡で星空を観測したのは17

世紀前半。地動説を唱えたガリレオは宗教裁判にかけられ、「それでも地

球は動いている」とつぶやいたとされる逸話は有名です。



ローマ教皇がガリレオの宗教裁判の誤りを認めたのは、それから数世紀

を経た1983年。地動説を公式に認めたのは、さらに25年後の2008年のこと

でした。



日本の裁判制度に目を向けてみると、最高裁判所の判事は司法試験を

受けなくとも務めることができ、それは、法律が社会科学による創造の上

に成り立っていることに由来するといいます。



地球環境に視野を広げてみると、122℃でも増殖可能な超好熱菌や、pH

(ペーハー)が高い火山酸性の水中で増殖する好酸菌も知られ、かつての

常識では考えられなかったことが明らかにされてきています。



どうやら人間の考え方をあらかじめ規定することは合理的ではないようです。

無いものをつくる創造の心がけ。

高い塔を建ててみなければ新たな水平線は見えてこなさそうです。



※太陽系大航海時代。社会と人間ドラマ 2017.08
 講師 川口淳一郎 先生 宇宙飛翔工学研究系教授
 会場 東京国立近代美術館フィルムセンター
 JAXA相模原キャンパス特別公開 2017



○UNIVERSE|自然科学と精神科学の両側面


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我々は
いろいろしてやれたことを怠ったのではないか



※「車輪の下」 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007
 第7章 p287-288


フライク親方は墓のそば、ハンスの父親と、絶え間なく泣き声をあげている

老アンナのところで足を止めた。



「お辛いことですな、ギーベンラードさん」と彼は思いやりを示しながら言った。

「わたしもハンスのことが好きでしたよ」

「理解できません」とギーベンラートはため息をついた。

「あけほど才能があったのに、それにすべてうまくいっていたのに。

学校、試験も─それなのに、突然不幸が次々に襲ってきて!」



靴屋(⇒フライク親方)は教会の庭の門を通って帰っていくフロックコート

の人びとを指差した。「あそこに行く紳士も」と彼は小声で言った。

「ハンスが破滅するのに手を貸したんですよ」

「何ですって?」と父親は飛び上がり、疑念と驚きをこめて靴屋を見つめた。

「なんてこった、どうしてまた?」

「落ち着いてください、お隣さん。わたしが言ったのは学校の先生たちのことだけです」

「どうして? いったいなぜ?」

「いや、これ以上はやめましょう。あなたとわたし、我々も、あの子にいろいろ

としてやれたことを怠ったのではありませんかな?」



小さな町の上には楽しげな青空が広がっていた。…



○私が私になってゆく|ハイデガー「存在と時間」


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復讐するは我にあり
我これを報いん

キリスト(Christ)への礼拝(mass)を意味するクリスマス(Christmas)
キリスト誕生を表現したジオラマ


※新約聖書「ローマの信徒への手紙」 12章19節


愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。

なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身

が報復する」と書いてあるからである。


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社会と個人の関係
互いに否定しあいながら分かちがたい

黄色いベスト運動 Paris, 8 Dec 2018
(仏:Mouvement des gilets jaunes, 英:Yellow vests movement)


※「倫理学1」 和辻哲郎 p39-40


  一方において行為する「個人」の立場は何らかの人間の全体性の否定

  としてのみ成立する。否定の意味を有しない個人、すなわち本質的に

  独立自存の個人は仮構物に過ぎない。



  しかるに他方においては、人間の全体性はいずれも個別性の否定に

  おいて成立する。個人を否定的に含むのでない全体者もまた仮構物

  に過ぎない。この二つの否定が人間の二重性を構成する。しかもそれ

  らは一つの運動なのである。





多くの個人の集合によって成り立っている社会。個人は社会を否定して個性

を主張することで分裂してゆきますが、そのことによって弊害も生まれます。

そこで再び個性を否定して共同することで社会は成り立っているようです。



○哲学からみた人間理解|自分自身の悟性を使用する勇気を持つ


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名のない草の宿となる

オオスミソウ


※「土」 金子みすゞ


  こッつん こッつん

  ぶたれる土は

  よい畑になって

  よい麦生むよ。



  朝から晩まで

  ふまれる土は

  よい道になって

  車を通すよ。



  ぶたれぬ土は

  ふまれぬ土は

  いらない土か。



  いえいえそれは

  名のない草の

  お宿をするよ。



※金子みすゞ(かねこみすず, 1903(明治36)年-1930(昭和5)年)。童話詩人。
 20歳の時に作った詩が複数誌に掲載されてから500編余りの作品を残した。
 23歳で養父の経営する書店に勤める男と結婚するが、後に養父と夫との関係
 は悪化。夫の遊郭遊びでうつされた淋病がみすゞにも感染して苦しむ。また、
 詩への関心が薄かった夫から詩作活動を禁止された。離婚後、娘の親権を
 主張した夫に対して、母親に親権を託す旨の遺書を書き残し、26歳の若さで
 服毒自殺を遂げた。代表作「大漁」「わたしと小鳥とすずと」 など。



○甘い香りに誘われて|Winter Sweet ロウバイ

○ため息を春風に変えて|自然からの贈り物 春の花言葉


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つながりが失われ個人化する
日本人



※「民間伝承」 柳田國男 1948 社会科教育と民間伝承


 家といふ群がもし本とうに崩れてしまふものならば、其(その)代りとなって再び

 出現するものは、どんな群であらうか。




日本の葬儀は一般的に通夜と告別式が行われています。通夜は元々、夜を通して

死者と最後の時間を過ごす意味あいがありましたが、今日の通夜は、夜の時間帯

に一般の弔問客を迎え、読経を行い、お焼香をするといった儀式となっています。

その結果、通夜と告別式は類似化し、通夜を行わない一日葬が増えているととも

に、宗教儀式を行わない「直葬」は東京では2〜3割にのぼるといいます。

また、近年注目される散骨や樹木葬といった葬法には、後継者を必要としない

という特徴があります。



このように大きく変化している日本の葬儀ですが、その背景には地域とのつながり

中にあった「家」の消滅に起因すると指摘されます。



工業化の進展に伴い企業規模が大きくなると、人びとはこれまでの「家」を離れ

会社に属し、核家族や単身世帯が増加します。地域と「家」とのつながりの中

にあった旧来の葬儀は、高度経済成長に支えられた会社と「核家族化した家」

のつながりに代替されてゆきます。葬儀には多くの会社関係者が出席し、また、

会社関係者の両親や祖父母の葬儀に出席することによって、つながりは維持

されてきたように思えます。



しかし、90年代のバブル崩壊とともに会社と「核家族化した家」とのつながりは

断絶を迎え、景気の低迷に多くの人々が苦しむことになります。賃金低下、

希望退職や雇止め、共働き化と男性の家事・育児への参加、待機児童問題、

うつ病や自殺、少子化問題、自己責任論……



タテとヨコのつながりを失い個人化した結果、プライベートな死生観が重視され、

他人を煩わせないような死に方が潮流となっているように思えます。



※死者と生者の共同性−葬送墓制の再構築をめざして− 2018.12
 第109回歴博フォーラム
 主催 国立歴史民俗博物館
 共催 早稲田大学人間科学学術院
 会場 早稲田大学大隈記念講堂大講堂



○財政健全化への取組み|失われた25年から学んだこと

○イノベーションは内生的に生まれる|健全な経営を目指す会社


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考える道具
言葉



言葉の順番として、「犬と猫」と表現する方がしっくりするか、それとも「猫と

犬」と表現した方がしっくりするか? どちらも正しい表現ですが、日本人は

「犬と猫」と表現する人の方が多いようです。



一方、お隣りの国・韓国では「猫と犬」と表現する人の方が多いといわれ、

アメリカでも「Dog & Cat」と言うよりは「Cat & Dog」と表現することが多い

ようです。



当たり前に使っている言葉ですが、このようになぜだろうと考えさせられる

ことがあります。言葉は意思や感情を伝えるだけでなく、考える道具でも

あり、言葉になっていない事柄を思考するのは困難が伴うといいます。



※金田一先生が語る類語辞典とその活用法 2018.12
 講師 金田一秀穂 先生 杏林大学教授・日本語学者
 会場 AP市ヶ谷
 主催 一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)
 後援 東京都教育委員会
 協力 学研プラス
 子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)助成活動


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言葉を超えた領域
声 ・ 音 ・ 音楽



谷川俊太郎さんの詩を読むとハッとさせられることがしばしばありますが、

言葉のプロである谷川俊太郎さんに言わせれば「言葉は無力」だと言います。



確かに、複数の人が同じ文章を朗読したとしても、読む人によって聞き手は

感じ方が違いますし、歌でもプロが歌うのと素人が歌うのでは、やはり異なる

ように思えます。声や音には言葉を超えた何かがあるようです。



「三平方の定理」で知られる古代ギリシアの数学者・哲学者ピュタゴラスは、

優れた音楽家でもあったとされ、天体の運行に見られるような秩序は音楽

の世界にもみられると考えたそうです。



また、古代ギリシアの哲学者プラトンは、著書「国家」に記載される戦士エル

の物語において宇宙の音楽は魂と調和すると指摘しています。



中世に成立したオックスフォードやボローニャ、ハイデルベルクといった

諸大学の授業科目は自由七科と呼ばれ、音楽は数学や天文学の隣接

科目に位置づけられていました。



中世ヨーロッパを代表する思想家ボエティウスは、音楽(musica ムシカ)

を「器官の音楽(musica instrumentalis ムシカ・インストゥメンタリス)⇒

声帯や楽器、今日の意味の音楽に近い」、「人間の音楽(musica humana

ムシカ・フマーナ)⇒魂の調和」、「宇宙の音楽(musica mundana ムシカ・

ムンダーナ)⇒本質的な音楽、原音楽」の3つに分類したといいます。



※自由七科
  三科 … 文法(grammatica)・修辞学(rhetorica)・弁証法(dialectica)
  四科 … 算術(arithmetica)・幾何(geometria)・天文学(astronomia)・音楽(musica)



※詩の声 2017.06
 講師 谷川俊太郎 先生 詩人
 第82回円覚寺夏期講座

※音楽宇宙論の世界 2018.12
 講師 茂木一衞 先生 横浜国立大学名誉教授
 放送大学神奈川学習センター



○日本人の音楽的アイデンティティ|新たな響きが奏でる未来


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いちばん大切なことは
目に見えない

サン=テグジュペリが砂漠の中継基地キャップ・ジュビー(現モロッコ・タルファヤ、
当時はスペイン植民地)滞在中に飼っていたという「フェネック」


※「星の王子さま」 サン=テグジュペリ 河野万里子(訳) 新潮文庫(サ 1 3) 2006
 p108-109


「さようなら」王子さまは言った…

「さようなら」キツネが言った。「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。

ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に

見えない」



…「人間たちは、こういう真理を忘れてしまった」キツネは言った。「で、きみは

忘れちゃいけない。きみは、なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に

責任を持つんだ。きみは、きみのバラに、責任がある…」



○人類から遠く離れた孤独の中に住む 世界の本質

○あふれる力でともに未来へ|植民地化されてきたアフリカ


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地球と同時期に生まれた双子星
金星

同縮尺の金星(左)と地球(右)


※「1973年のピンボール」 村上春樹 講談社文庫 2004


金星は雲に被われた暑い星だ。暑さと湿気のために住民の大半は若死にする。

三十年も生きれば伝説になるほどだ。そしてその分だけ彼らの心は愛に富ん

でいる。全ての金星人は全ての金星人を愛している。彼らは他人を憎まないし、

うらやまないし、軽蔑しない。悪口も言わない。殺人も争いもない。あるのは

愛情と思いやりだけだ。



「たとえ今日誰が死んだとしても僕たちは悲しまない」

金星生まれの物静かな男はそう言った。

「僕たちはその分だけ生きてるうちに愛しておくのさ。後で後悔しないようにね」

「先取りして愛しておくってわけだね?」

「君たちの使う言葉はよくわからないな」と彼は首を振った。

「本当にそう上手くいのかい?」と僕は訊ねてみた。

「そうでもしなければ」と彼は言った。「金星は悲しみで埋まってしまう」



○UNIVERSE|自然科学と精神科学の両側面


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人類から遠く離れた孤独の中に住む
世界の本質



The only true wisdom lives far from mankind, out in the great loneliness,

and can be reached only through suffering.

− Caribou Eskimo, Shaman −




唯一の正しい智恵は、人類から遥か遠く離れた大いなる孤独の中に住んでおり、

人は苦しみを通じてのみそこに辿り着くことができる。

− カリブエスキモー、シャーマン −



※森と氷河と鯨―ワタリガラスの伝説を求めて 星野道夫 世界文化社 1996年
 消えゆくトーテムポールの森で p26





「唯一の正しい智恵」を他に言い換えるならば、世界(世の中)の本質、

真理、真実、実体、道理、理念、概念、普遍、超自然、神、森羅万象、

古代ギリシアの哲学者プラトンのいうイデア、

新プラトン主義でいう最高位の存在、一者(トヘン)、

臨済宗がいう「仏が語られた言葉のその奥にある心」、

真言密教がいう「秘密荘厳心 (ひみつしょうごんしん)」などが思い浮かび、

形式や事象では表せない目に見えない存在であって、

善と悪、光と影、喜びと苦しみ、そして孤独を通して、

魂の目によってみることができるもののようです。



○人類から遠く離れた孤独の中に住む|世界の本質

○善すなわち美|自己内対話によって培われる無私の精神


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光と闇
世界と人類の創造

「天地創造」 ミケランジェロ システィーナ礼拝堂


※旧約聖書「創世記」 第1章 1〜5節 「聖書」 日本聖書協会, 1955年


はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵の

おもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。神は「光あれ」と言

われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。神はその

光とやみとを分けられた。神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。

夕となり、また朝となった。第一日である。



○光は闇の中で輝く|世代とジェンダーを越えて発展する


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ハイドン 天地創造
Haydn - The Creation / Die Schopfung(with Annette Dasch & Thomas Quasthoff)

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より広い視点からの
経験

アポロ9号 1969年


※アポロ9号の搭乗員ラッセル・L・シュウェイカート(Russel L. Schweickart)


単に宇宙に行ったからといって、それが意識の変化を生み出すわけではない。

…それは、森の中に行ったり、夜間、スキューバダイビングをするといった経験

にもいえることである。ある種の人間は、より広い視点に心を開いていない人間

とは、異なった経験をすることになるのだ。



−−「われわれはすでに宇宙の中で暮らしている。ところが、あたかも、宇宙

から切り離されているような感じを抱いている。皮肉にも、今日より過去におい

ての方が、われわれは宇宙の中で暮らしていた。街の灯や電気、あるいは堅

い屋根がまだなかった頃、夜間は非常に宇宙的な時間であった。しかし、今日、

夜は電子的な時間である。われわれはブラウン管の前に座って、明るく照らし

出された他人によって楽しみを与えられている。そのために、初期の人類が

もっていた宇宙感覚をちょっとばかり失ってしまった。」



※「スペース・オデッセイ」 ラッセル・L・シュウェイカートより
 「宇宙意識への接近―伝統と科学の融和」 河合隼雄, 吉福伸逸 (編纂) 春秋社 1986



○生命の跳躍|海洋を統合的に理解する


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視点が変わると見え方も変わる
社会の転換期

ミケランジェロ広場(Piazzale Michelangelo)から見た
フィレンツェの街並み


ルネサンス期(14〜16世紀)に大きな変化を迎えたヨーロッパ社会。当時の科学

そのものであった天文学の領域では、天動説から地動説へと発想が大転換し、

美術の領域では遠近法が確立します。



音楽の領域では、中世にはみられた五平行(連続五度)が禁止となり、新たに

カデンツ(cadence、楽曲の終止への過程を形成する音進行の定型)が成立。

音組織に変化が起こりました。



これらの変化は個々の領域内だけに限った変化ではなく、それらを超えた

横断的な変化のようにも思えます。感じ方や考え方の基準は、視野を広げ

た時に変わるようです。



※音楽宇宙論の世界 2018.12
 講師 茂木一衞 先生 横浜国立大学名誉教授
 放送大学神奈川学習センター



○人間の弱さと限界、そこからの可能性|パスカル「パンセ」

○精神自由の再生|ルネサンス都市フィレンツェ


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参  考  情  報


○「道理の前で」 フランツ・カフカ. 大久保ゆう(訳) - 青空文庫

○日本国政府:北朝鮮による日本人拉致問題

○公益財団法人 野口英世記念会

○横浜市長浜ホール

○一般社団法人ペットフード協会

○魅力的なフリー画像 ・ Pixabay

○Imagebase - Absolutely free images

○Wikipedia

○車輪の下 ヘッセ. 松永美穂(訳) 光文社古典新訳文庫 2007

○訴訟 フランツ・カフカ, 丘沢静也(訳) 光文社古典新訳文庫 2009

○アンナ・カレーニナ トルストイ 望月哲男(訳) 光文社古典新訳文庫 2008

○贖罪 湊かなえ 双葉文庫 2012

○わたしを離さないで カズオイシグロ, 土屋政雄(訳) 早川書房 2006

○結婚の条件 小倉千加子 朝日文庫 2007

○ヒトは「いじめ」をやめられない 中野信子 小学館新書 2017

○新版 精神分析入門 フロイト,安田徳太郎・安田一郎(訳) 角川文庫 2012

○ラカンの精神分析 新宮一成  講談社現代新書 1995

○ラカンはこう読め! スラヴォイ・ジジェク, 鈴木晶(訳) 紀伊國屋書店 2008

○寝ながら学べる構造主義 内田樹 文春新書 2002

○現代哲学の名著 20世紀の20冊 熊野純彦 編 中公新書 2009

○物語論で読む村上春樹と宮崎駿 ――構造しかない日本
 大塚英志 角川oneテーマ21 2009

○残っても地獄、辞めても地獄……多くの日本人が悩む働き方の現実
 伊藤慎介 ITmedia ビジネスオンライン 2018.12.6

○新自由主義に抗戦するフランス国民、沈黙する日本国民<菊池英博氏>
 ハーバービジネスオンライン 2018.12.20

○劣化するオッサン社会の処方箋 なせ一流は三流に牛耳られるのか
 山口周 光文社新書 2018

○会社の老化は止められない―未来を開くための組織不可逆論
  細谷功 亜紀書房 2013

○WOWOW連続ドラマW「贖罪」

○映画「Never Let Me Go」 2010

○映画「The Danish Girl」 2015

○映画「Mystic River」 2003

○映画と精神分析 2018.11
 講師 清田友則 先生 横浜国立大学教授
 放送大学神奈川学習センター

○死者と生者の共同性−葬送墓制の再構築をめざして− 2018.12
 第109回歴博フォーラム
 主催 国立歴史民俗博物館
 共催 早稲田大学人間科学学術院
 会場 早稲田大学大隈記念講堂大講堂

○現代日本の葬送と墓制 イエ亡き時代の死者のゆくえ
 鈴木岩弓, 森謙二(編) 吉川弘文館 2018

○金田一先生が語る類語辞典とその活用法 2018.12
 講師 金田一秀穂 先生 杏林大学教授・日本語学者
 会場 AP市ヶ谷
 主催 一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)
 後援 東京都教育委員会
 協力 学研プラス
 子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)助成活動

○重症心身障害者ALS患者さんに聴こう 2018.11〜2019.1
 ・缶プレス職人への道のり
  歌川雅樹 先生 社会福祉法人 訪問の家 朋第2メンバー
 ・発症19年の重篤ALS患者だから語れる臨床哲学の注意点と共感面
  〜卒論で実社会でも役だつ講義〜
  舩後靖彦 先生 福祉サービス企業 株式会社アース 副社長
 ・ALS患者にとっての尊厳死とは?
  〜尊厳死と尊厳生を考える〜
  岡部宏生 先生 一般社団法人日本ALS協会 前会長
 立正大学文学部哲学科 公開授業「倫理学の基本諸問題A」
 立正大学文学部哲学科教授 田坂さつき 先生
 立正大学品川キャンパス 11号館1151教室

○藝大アーツ・スペシャル2018 障がいとアーツ 2018.12
 コンサート「聞こえる色、見える音」 奏楽堂ホール
 「障がいとアーツ」の創始者であり、初回からイベントを中心となって
 牽引されてきた東京藝術大学の松下功副学長が急逝されました。
 ご冥福をお祈りします。

○音楽宇宙論の世界 2018.12
 ・講師 茂木一衞 先生 横浜国立大学名誉教授
 ・古代ギリシャの音楽観―プラトンの「天体の音楽」
 ・中世からルネッサンスへ―遠近法、地動説と音楽の「美への革命」
 ・ルネッサンスからバロックへ―「ゆがんだ真珠」と「惑星の音階」
 ・バロックの音楽と宇宙―バッハの予定調和から力学的音楽観へ
 ・古典派の音楽と宇宙―モーツァルトと「天空の調和」
 ・古典派からロマン派へ―シューベルトと「ダークエネルギー」
 ・ロマン派の音楽と宇宙―無限と夢幻の果てしない世界
 ・20世紀、21世紀、そして…―芸術と自然、宇宙論の新たな融合と発展へ
 放送大学神奈川学習センター

○〜夢と絆〜 2018.12
 講師 蓮池薫 先生 新潟産業大学経済学部准教授
 会場 泉公会堂
 平成30年 横浜市泉区人権啓発講演会

○人と動物の共通感染症を知る 2018.12
 講師 丸山総一 先生 日本大学生物資源科学部教授
 放送大学神奈川学習センター

○遠き落日(上・下) 渡辺淳一 講談社文庫 2013

○ホット・ゾーン―恐怖!致死性ウイルスを追え! リチャード プレストン
 高見浩(訳) 小学館文庫 1999

○映画「Outbreak」 1995

○メアリー・カサット展
 新しい時代の扉を開いた印象派の女性画家
 横浜美術館 2016年6月25日〜9月11日

○詩の声 2017.06
 講師 谷川俊太郎 先生 詩人
 第82回円覚寺夏期講座

○Bunkamura 30周年記念 国立トレチャコフ美術館所蔵
 ロマンティック・ロシア 2018年11月23日〜2019年1月27日
 Bunkamura ザ・ミュージアム

○「田舎の長男」との結婚に絶望した彼女の告白
 婚約したが解消、平凡を望んだ末に見た地獄
 菅野久美子(フリーライター) 東洋経済online 2019.1.3


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