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日本の伝統演劇 舞台芸術の根源的な魅力 |
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| 雅楽 | 能 | 能面 | 井筒 | 石橋 | 人形浄瑠璃 | 浄瑠璃 | 地と詞 | 歌舞伎 | | 上方の和事 | 江戸の荒事 | 舞台芸術の共存 | 根源的な魅力 | 参考情報 | |
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華やかな様式美 雅楽 |
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日本に古来からあった神楽(かぐら)歌などの舞と、 古代アジア大陸諸国の音楽が融合して10世紀頃に完成したという「雅楽(ががく)」。 皇室の保護の下に伝承され、 宮中の儀式、饗宴、春・秋の園遊会などの行事の際に演奏されているそうです。 雅楽の一つ右舞「陪臚(ばいろ)」は、 この曲を繰り返し七回演奏した時に舎毛音(しゃもうのこえ)が聞こえれば 戦に勝つといわれ、戦の前に奏して勝敗を占ったといいます。 武具を持って勇ましく舞う武踊の四人舞で、太刀を佩(は)き、鉾と楯を持って舞います。 管絃は唐楽、舞としては右方(朝鮮半島・高麗を経由して伝来)に属するそう。 ちなみに現在、舎毛音がどのような音かは解っていないそうです。 ○日本人の神々を祀る伊勢神宮 ○日本の姿勢を伝える大相撲 ○本物の作品で日本の文化史がたどれる東京国立博物館 |
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舞楽 陪臚 | |||
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到来する者の劇 能 |
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横浜能楽堂 | |||
屋根を戴き、柱を廻らせた屋形の姿をしている能舞台。 一片が約6メートルの正方形の本舞台の左側には、 揚幕(入口)からつながる通り道のような「橋掛リ」が見えます。 能は、到来する者の劇といわれ、 人間を超える神々や死者の霊魂などが到来し、 自然から与えられた生命の摂理や人間の運命などを語ったのち 再び去ってゆくのだそう。 「橋掛リ」は人間を超える何者かが到来・去ってゆくところなのですね。 ○死に接する精神的・肉体的試練 通過儀礼 ○人間を超えた存在に出会い、畏れかしこむ |
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到来する者が懸ける 能面 |
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能の世界では能面は面(おもて)と呼ばれ、 面を懸けるのはシテ方の役者に限られているそうです。 シテ(為手)は、役の演じ手というほどの意味だそうで、 今日では主人公を勤める役者がシテ方と呼ばれ、 シテ方がこの「到来する者」になるそう。 シテの相方を勤めるのがワキで、ワキ方の役は「生きている男性」と 決まっているため、面はつけず常に直面(ひためん:素顔)で演じられるそうです。 ○風刺や失敗談など「滑稽」を表現する狂言 |
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真っ直ぐな強さ 井筒 |
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「井筒の女」の霊が降りたち、愛した男への一途な想いを舞います | |||
奈良の地方官の子供として育った男は、 幼馴染として過ごした女と愛し合い結ばれます。 しかし女の父は亡くなってしまい、 庇護が期待できなくなった婚家に留まっている訳にいかず、 将来の展望を拓くため家を空けるようになります。 妻である女は生駒の山を独りぼっちで越えてゆく男の身を案じながら、 男が戻るのを根気よく待ち続けますが、ついに戻ってくることはなかったといいます。 幾百年を経て、その女の霊が思い出の場所に現われ、 愛した男への一途な想いを舞います。 観る者の心を静かに確実に打つのは、いつまでも待ち続けた女の可憐な、 疑うことを知らない心が愛おしく思わずにいられないと感じる、 真っ直ぐな強さが魅力的です。 ○大地に宿る命|移ろい行く時の狭間に力の限り咲く花 |
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井筒 | |||
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智恵を司る仏の使い 獅子が舞い世を祝福する |
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般若 | |||
能演目の一つ「石橋(しゃっきょう)」。 智恵を司る仏・文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の使いである獅子が舞う後場は、 笛・小太鼓・大太鼓の渾身の演奏が伴い、迫力ある場面です。 仏跡を巡る旅を続ける寂昭法師(大江定基)は、 中国の清涼山にある石橋付近に着きます。 そこにひとりの樵(きこり)の少年が現れ、 橋の向こうは文殊菩薩の浄土であるが、 この橋は狭く長く深い谷に架かっているため、 人が容易に渡れるものではないと教え、姿を消します。 やがて、橋の向こうから文殊菩薩の使いである霊獣の獅子が現われ、 石橋の傍らに美しく咲く牡丹の花に戯れ、豪快に獅子舞を舞い、世を祝福しました。 |
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天神祭宵宮祭2013-奉納水上薪能 半能「石橋・大獅子」 | |||
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語り物芸術と人形の協働 人形浄瑠璃 |
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艶容女舞衣(はですがた おんな まいぎぬ) | |||
語り物芸術である浄瑠璃と人形との協働で表現されるという人形浄瑠璃。 15世紀後半、竹本義太夫と近松門左衛門の提携により 大坂道頓堀に竹本座が開場し、世話物浄瑠璃「曽根崎心中」が大当たり。 それから半世紀が興行的にピークの時代だったといいます。 |
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自律的に完結した語り物 浄瑠璃 |
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人形浄瑠璃は「浄瑠璃」と「人形」で成り立っているそうですが、 あくまで「浄瑠璃(太夫・三味線)」が主体なのだそうです。 浄瑠璃は朗誦される物語であり、自律的に完結している為、 人形がなくとも上演可能といいます。 しかし、浄瑠璃だけでは演劇にはならず、 浄瑠璃と人形との相互依存によって演劇として現われているのだそう。 |
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観客を劇的な葛藤に引き込む真骨頂 「地」と「詞」 |
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浄瑠璃「太夫(語り手)と三味線」 | |||
叙事詩の構造を具えているという浄瑠璃。 叙事詩は一人の語り手が聴衆を前にして、その世界を客観的な対象として 外から語るため、発話は三人称(第三者)の形態をとるそう。 一方、抒情詩では発話はその世界の内部にあり、 「わたしの現在」として主観的な心を表しているため、 一人称(私)の形態をとるそうです。 浄瑠璃では、叙述部分を「地(じ)」、人物により直接話法を「詞(ことば)」と呼び、 両者が複雑に絡み合うことで観る者に驚異的な効果が生じるのですね。 |
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江戸時代の町人文化から生まれた 歌舞伎 |
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1849年3月 江戸中村座で上演されたという「忠臣蔵」 歌川豊国 | |||
江戸時代の町人文化から生まれたという歌舞伎。 当時の新奇な事件や巷説、小説、浮世絵をはじめとするアート、 催事や祭礼、遊びや流行など、様々な領域から貧欲に吸収し、 歌舞伎の内容と方法論は膨れ上がってきたといいます。 それは今日のテレビのように、 ドラマや音楽番組、バラエティやニュースにワイドショー、スポーツ等と 様々なジャンルが一つのメディア空間として機能している事と似ているようです。 ○東京散策 晴れの日は散歩|街で見つけた小さな発見 ○さようなら第四期 歌舞伎座 ○日本の伝統芸能を上演する国立劇場 |
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人の心を和らげる、のんびりとして柔らかな情趣 上方の和事 |
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上方(京・大坂)で成立した歌舞伎は「和事」、 江戸で発展した歌舞伎は「荒事」と大まかに分けられるそうです。 和事の「和」は端的に男女和合の「和」を意味したそうですが、 それは夫婦や町娘と少年の初々しい恋物語ではなく、 近世の遊廓で育まれた性愛の文化が理想的なモデルとされているそう。 恋愛は、未知なる肉親の発見・再会の劇であり、 それが遊廓という場を通して構想されたことは、 近世日本の家制度の問題が背後にあったといいます。 和事の芸や情景には、人の心を和らげる、のんびりとして柔らかな情趣が、 濃密に漂っているのですね。 ○キスによって覚醒する瞬間 ピュグマリオンとガラテア ○クピドとプシュケ |
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廓文章 吉田屋 ダイジェスト | |||
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生命のエネルギー 江戸の荒事 |
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成田屋 「暫」 | |||
江戸の人口に占める武士(男)の割合は高く、 その多くは参勤交代で江戸詰めとして全国から移り住んできた人であり、 戦国時代の武張った風を引き継いでいたといいます。 またその頃の江戸は、埋め立てなどのインフラ整備、建築需要などで 町全体が工事現場のありさまで、力仕事に従事する労働者(男)が集まっていたそう。 当時の芝居では、坂田公時(金太郎)の息子に擬せられた 坂田金平という童形の武者が、岩を叩き割ったり、首を乱れ飛ばしたりと 大暴れを演ずる豪快なアクションが江戸の人々の喝采を浴びたそうです。 荒事は、「荒っぽい」「荒々しい」といったことが含まれますが、 実はそれだけではなく、背景には自然世界の脅威に向けられた 自然神崇拝の呪術的想像力が秘められていたといいます。 ○民衆の生命力溢れるエネルギー|モンロー時代の光と陰 ○人と人・人と自然との共存から未来を紡ぐ|Life is a Journey ○金太郎伝説が宿る天下の秀峰 金時山 |
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諸外国にはほとんど見られない日本的なあり方 国内外・新旧舞台芸術の共存 |
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国立劇場 | |||
日本、そして世界には様々な舞台芸術が存在している中、 私たちの日本においては、 伝統的な舞台芸術(雅楽・能・人形浄瑠璃・歌舞伎など)が、 現代の日本的舞台芸術(ブトー・新劇・アンダーグランド演劇など)と 共存しているだけではなく、 オペラやバレエなどの外国生まれの舞台芸術が 日本の新旧の舞台芸術と共存しているといいます。 このことは諸外国にはほとんどない、極めて日本的なあり方なのだそうです。 ○「生きる力」を奏でるクラシック ○「ロメオとジュリエット」観劇に出かけましょう ○魔性の女がひく運命のカード オペラ「カルメン」 ○命から生まれた嘆き・希望・美しさ 世界の民族音楽 |
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演劇的なものの 根源的な魅力 |
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アリストテレス | |||
古代ギリシャの哲学者アリストテレス。 その著作「詩学」において、演劇的なものの根源的な魅力について、 普遍的な解明をしているそうです。 悲劇とは、あわれみ(同情)とおそれ(恐怖)を喚起しながら、 このような諸感情のカタルシス(浄化)を、その行為のミーメーシス(再現)は なしとげるのである。(詩学第6章) 観客は、不当にも身に相応しからぬ不幸におちいってしまったその人に対して、 あわれみ(同情)の思いを抱き、また、その人が、自分と同等な、 似たような人間であるがゆえに、その人のような不幸が身に起こる可能性も なきにしもあらずと思うからこそ、おそれ(恐怖)を抱くといいます。 観客は演劇を通して、普段は意識下に追いやっている 自分自身の不幸・苦悩を再体験し、向かい合うことで、 重圧から解放される意識的浄化(カタルシス)が、演劇の根源的な魅力のようです。 ○人と自然の共生|野外活動に触れ生きる力を研ぎ澄ます ○深く、恐ろしく真実を語るものであれ|近代彫刻の父 オーギュスト・ロダン |
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参 考 情 報 | |||
○文化デジタルライブラリー:独立行政法人日本芸術文化振興会 ○雅楽 - 宮内庁 ○能楽への誘い 〜鑑賞の手引き〜|独立行政法人 日本芸術文化振興会 ○公益社団法人 能楽協会 ○能 狂言ホームページ ○横浜能楽堂 ○一般財団法人観世文庫/一般社団法人観世会 公式ウェブサイト ○Japanese Noh Play. 能楽ポータルサイト:the能ドットコム ○石橋 - 滋賀県立大学能楽部による『石橋』全文(現代訳、注釈付) ○能面ホームページ ○公益財団法人 文楽協会 オフィシャルウェブサイト ○歌舞伎への誘い 〜歌舞伎鑑賞の手引き〜 ○歌舞伎公式サイト | 歌舞伎美人(かぶきびと) ○成田屋 市川團十郎・市川海老蔵 公式Webサイト ○独立行政法人 日本芸術文化振興会 ○フリー百科辞典「Wikipedia」 ○舞台芸術への招待 放送大学 ○團十郎の歌舞伎案内 市川 團十郎 PHP新書 ○雅楽 宮内庁式部職楽部 国立劇場 2014年2月22日 左舞 甘州(かんしゅう) 右舞 還城楽(げんじょうらく) 左舞 胡飲酒(こんじゅ) 右舞 陪臚(ばいろ) ○題名のない音楽会 東京オペラシティ コンサートホール 2014年2月20日 提供:出光興産 主催:tv asahi 司会:佐渡 裕 本間 智恵 ○<第1部>再発見!ニッポンB 尺八にみる日本の美学(2014年5月18日放送予定) ・管弦楽組曲第2番 第5曲 ポロネーズ 作曲:J.S.バッハ ・アメイジング・グレイス 作曲J.P.カレル D.S.クライトン ・鶴の巣籠 作曲:流祖 中尾都山 ・能「石橋」から 後場「獅子」より ・慷月調(こうげつちょう) 作曲:中尾都山 ・尺 八:藤原道山・フルート:斎藤和志 ・演 奏:長原幸太(ヴァイオリン)・佐久間聡一(ヴィオラ)・奥泉貴圭(チェロ) ・亀井広忠 能楽囃子 太鼓:亀井広忠・笛:杉信太朗・小鼓:幸正昭・太鼓:小寺真佐人 ○<第2部>50周年記念"巨匠から若手へジャズ編" 〜山下洋輔がスガダイローに伝える事(2014年7月6日放送予定) ・ピアノソロによる即興演奏 ・SPEDER 作曲:山下洋輔 ・キアズマ 作曲:山下洋輔 ・山下洋輔トリオ ピアノ:山下洋輔・サックス:坂田明・ドラムス:森山威男 ・スガダイロートリオ ピアノ:スガダイロー・ベース:東保光・ドラムス:服部マサツグ |
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