あふれる力でともに未来へ

精神までも植民地化されてきたアフリカ


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日本人にとって遠い存在であった
アフリカ



アフリカの面積は3000万ku強でおよそ日本の80倍。石油や天然ガス・

金・プラチナ・ダイヤモンドといった資源が豊富にあります。



2018年現在、アフリカには54の国があり、全ての国は国際連合に加盟。

全加盟数193ヶ国のうち3割弱を占めています。



人口は約12億5600万人。世界人口の15.5%を占め、2050年には倍増して

約25億人、世界の4人に1人を占めるようになると予測されています。


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最大の人口を擁する
ナイジェリア

ナイジェリアの旧首都ラゴス
Tinubu Square Lagos Island, 2014


アフリカで最大の人口を擁するのはナイジェリアの1億8,599万人(2016年 世銀)。

GDPにおいても2014年に南アフリカを抜きアフリカ最大となっています。



ナイジェリアを含むサブサハラ(サハラ砂漠より南の49ヶ国)における実質GDP

は好調に推移しており、資源のない国々に限ってもプラス成長しています。

(IMF, World Economic Outlook Databese, 2017)


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多民族国家
アフリカ

ナイジェリアの首都アブジャにある国立競技場


アフリカのほとんどの国は多民族国家であり、ナイジェリアやコンゴ共和国では

250以上の民族が存在し、言語は多岐にわたります。



○新たな絆から夢が膨らむグローバル人材


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紛争が続いてきた
ソマリア

アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM: African Union Mission in Somalia)
に参加するウガンダ人兵士 2012


紛争が続いてきたソマリア連邦共和国。1969年のクーデターにより政権を掌握

していたバレ政権が1991年に崩壊して以来、ソマリアは全土を実効的に支配

する政府が存在しない状態に陥ります。



劣悪な治安状況の下、大量の難民及び国内避難民が発生した上に、干ばつの

深刻化もあいまって食糧不足が悪化する等、重大な人道危機が生じました。


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世界最大の難民キャンプ
ダダーブ

ダダーブ難民キャンプ(ケニア)の集団墓地
(ケニアには元々ソマリ人が住んでいました)


ソマリアとの国境から西に約100キロメートルの位置にあるダダーブ難民

キャンプ(Dadaab Refugees Camp, Kenya)。



内戦を逃れ、ケニアのダダーブを目指すために沙漠を横切って数週間歩き、

途中で多くの子どもが亡くなったといわれます。キャンプの端にある新しく

作られた70人の子供の墓の中に若い女性が立っています。

彼らの多くは栄養不良で死亡しました。

写真:アンディ・ホール/オックスファム。




2016年、ケニア政府は同国内にある世界最大規模のダダーブ難民キャンプ

を含む複数の難民収容施設を閉鎖する方針を発表しています。



○私たちの生涯|生と死の狭間にある「時」を歩む

○食・農・里の新時代を迎えて


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ソマリア沖
アデン湾の海賊

ソマリア沖アデン湾の海賊


ソマリア沖・アデン湾の海域は、年間約1,600隻の日本関係船舶が通行するなど、

日本の暮らしを支える重要な海上交通路ですが、機関銃やロケット・ランチャー

などで武装した海賊による事案が多発・急増しました。



自衛隊は海賊対処法(平成21年7月施行)に基づき、派遣海賊対処行動水上部隊

(護衛艦2隻)を派遣し、この海域を通行する船舶の護衛を実施するとともに、

広大な海域における海賊対処をより効果的に行うため、派遣海賊対処行動航空隊

を現地(ジブチ共和国)に派遣して海賊の監視警戒を実施しています。



※海の海賊に気をつけろ! 2016.03
 講師 杉原耕二 先生 元海上自衛隊・インド洋派遣部隊指揮官
 会場 記念艦「三笠」講堂
 主催 (交社)日本船舶海洋工学会・海洋教育推進委員会
 第20回海洋教育フォーラム 私たちの海「海をまもる」

※ソマリア沖・アデン湾における海賊対処|防衛省 統合幕僚監部



○平和と独立を守る防衛省


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世界最大級の地域機関
アフリカ連合

アフリカ連合(Africa Union)本部|エチオピア・アディスアベバ
本部施設は中国の資金によって建設されたそうです


世界最大級の地域機関であるアフリカ連合(AU)。アフリカの一層高度な政治的・

経済的統合の実現と紛争の予防・解決に向けた取組強化のために、2002年7月、

「アフリカ統一機構(OAU、1963年5月設立)」から発展改組されて発足しました。



アフリカ連合には55の国・地域が加盟。

国際連合に加盟している国数(54ヶ国)との差異は、サハラ・アラブ民主共和国

(西サハラ)によるもので、モロッコが西サハラの領有を主張していることから

今なお係争中であり、日本では国として未承認となっています(2018年現在)。


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アフリカの歴史
アフリカから始まった人類

直立二足歩行をした足跡が残るラエトリ遺跡 タンザニア
特別展「グレートジャーニー 人類の旅」| 国立科学博物館


タンザニアのラエトリでは、約360万年前に人類(アファール猿人)が直立二足歩行

したとされる足跡が発見されています。



人類の起源に関しては、およそ700万年前にアフリカで誕生した新人が世界中に

拡散していったとする「新人アフリカ起源説」が支持されています。



○人と人・人と自然との共存から未来を紡ぐ|Life is a Journey


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アフリカに育まれた
豊かな文明

The Great Enclosure, which is part of the Great Zimbabwe ruins
グレート・ジンバブエの大囲壁(だいいへき) 世界遺産


アフリカの文明は、ザイール川、ザンベジ・リンポポ川、ニジェール川、ナイル

川といった川沿いに形成され、コンゴ王国、ジンバブエ、マリ王国、エジプト、

ヌビアといった国々が成立します。



南部アフリカに位置するグレート・ジンバブエ遺跡は、ザンベジ川・リンポポ川の

水系に築かれた王国の都。



現在の国名にもなっているジンバブエは、現地(ショナ人)の言葉では「石の家」

という意味だそうです。



○水と共に暮らす|いつまでも美しく安全に


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沙漠を越えて南北アフリカをつないだ
サハラ交易

サハラ交易ではラクダが導入されました


アフリカ各地の文明化に伴い、国々の間で交易が行われるようになります。



サハラ砂漠を横断してアフリカ大陸の南北をつないだサハラ交易では、

物品のほか宗教(イスラーム)といった文化も伝播(でんぱ)してゆきます。


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東アフリカとアラビアをつないだ
インド洋交易

古くからインド洋で活躍してきた木造帆船(ダウ船)


東アフリカ(現在のエチオピア・ソマリア・ケニア・タンザニア・モザンピーク)

とアラビア・インド・中国との間では、海を介して交易が行われます。



インド洋では夏には南西の風が吹き、冬は北東の風が吹くため、季節風

が利用されアフリカからはサイの角・亀の甲羅など、アラビア・インド・

中国からは、ガラス器・綿布・陶磁器などがもたらされます。



○海運が支える日本の豊かな暮らし

○生命の跳躍|海洋を統合的に理解する


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アフリカとアラブの融合
スワヒリ世界の形成

インド洋交易によって都市が築かれたモンバサ(ケニア)
Biashara Street, Mombasa


インド洋交易によって、東アフリカ沿岸部のモンバサ(ケニア)・キルワ(タンザニア)・

ソファラ(モザンビーク)といった地には都市ができ、アラブ系商人の文化と混じり

あいスワヒリ語が生まれます。



スワヒリ語はその後、東アフリカ内陸部へも伝わり、スワヒリ世界が形成されて

ゆきます。


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失われゆくアフリカの主体性
ヨーロッパの侵略

リンボンからアフリカを経てインドへ航海した
ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)率いるポルトガル艦隊


インド洋交易によって発展した東アフリカの都市は、1505年、

バコス・ダ・ガマ率いるポルトガル艦隊によって破壊され支配されます。



この頃を契機にアフリカの主体性は徐々に失われてゆき、今日に至る

諸問題にまで影響してゆきます。


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大西洋奴隷貿易と
植民地支配



16世紀には、ポルトガル・スペインに次いでオランダ・イギリス・フランスが

カリブ諸島や南北アフリカで大規模農場経営を開始したことに伴い、人手

としてアフリカ人を移入する大西洋奴隷貿易が行われるようになります。



その後19世紀には、アフリカの資源を求め西欧諸国がアフリカに入植し

植民地支配が本格化してゆきます。



○神秘な遺跡・情熱のタンゴ、多様な文化が交差する南米


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アフリカ分割を取り決めた
ベルリン会議

ヨーロッパ諸国によってアフリカ分割を取り決めたベルリン会議(1884-1885年)
Berlin Conference to divide Africa between the European powers.


アフリカ争奪戦を危惧した西欧は、1884〜85年にかけて開催したベルリン

会議において、アフリカの人々の存在を無視したまま支配ルールを定めた

ことにより、民族は複数の植民地国家に分断されることになります。




その時に定められた境界線は今日における国境となっています。


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部族対立や国境紛争の要因となった
直線的な国境線

  ベルギー   ドイツ   スペイン   フランス   イギリス
  イタリア   ポルトガル   独立維持(エチオピア・リベリア)


西欧による植民地支配を色で表した地図。1914年までにエチオピア・リベリア

の2ヶ国を除き植民地となります。アフリカに住む人々の意向に関係なく直線

的な国境線が定められ、元々あった王国や社会、民族は分断されます。



例えばソマリ人は、エチオピア、英領ソマリランド、伊領ソマリランド、仏領

ソマリランド(ジブチ)、英領ケニアの5つに分割されます。



植民地支配によって定められて国境は、現在も部族対立や国境紛争の要因

となっています。


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フランスの植民地
同化政策を推進したセネガル

セネガル共和国の首都ダカール


1815年から1960年までの間、フランスの植民地であったセネガル。

首都のダカールは、パリ-ダカール・ラリーのゴール地点だったこと

でもよく知られます。



フランスはセネガルを植民地にすると、同地の有力者が所有していた

奴隷を解放する一方で、農民に商品作物として落花生を栽培させる

経済構造を樹立します。



教育はフランス語でフランス式の義務教育(無償)が導入され、フランス

化した都市部の市民に本国の準市民権を与えつつ、地方部の従属民

は「原住民法」によって統治する同化政策を推進します。



フランス植民地下でセネガル人は「セネガル歩兵」としてフランスの戦争に

動員され、19世紀の西アフリカ植民地化戦争や20世紀の第一次世界大戦、

第二次世界大戦、インドシナ戦争、スエズ戦争などに参加しました。


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イギリスの植民地
南北に分断されたスーダン

 スーダンの首都ハルツーム


イギリスは、スーダン北部の影響力を排除して南部に植民政策を導入します。

スーダン南部の行政言語は英語となり、教育は初等から英語が導入されます。

また、宣教師の普及活動によってキリスト教化してゆきます。



一方、北スーダンの言語はアラビア語、宗教はイスラム教。

こうして南北は分断され、独立後の南北内戦の火種となります。



○周囲から影響を受け、周囲に影響を与えてきたイギリス


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人種隔離政策が行われた
南アフリカ

南アフリカ共和国・ヨハネスブルグ
最大の貿易相手国は中国。EU・米国・日本との貿易関係も活発ですが,
BRICs諸国・南部アフリカ諸国との経済関係強化も重視しています


ダイヤモンドや金といった資源が豊富にある南アフリカ。

17世紀半ばからオランダ、19世紀前半からは英国の植民地となります。



1911年白人鉱山労働者を黒人との競合から保護するため、最初の人種

差別法といわれる「鉱山・労働法」が制定されます。1913年には「原住民

土地法」が立法化され、黒人の居住地は全国の9%に限定されます。



第二次世界大戦後、反植民地闘争が激化し、南アフリカでも黒人民族

運動が高揚。これに危機感を覚えた白人政権はアパルトヘイト(人種

隔離政策)を導入します。


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アバルトヘイト撤廃に影響を及ぼした
冷戦構造

 「EUROPEANS ONLY (ヨーロッパ人のみ)」と書かれたベンチ
南アフリカ ヨハネスブルクの公園(1972年)


1940年代後半に法制化され、以来継続されたアパルトヘイト政策は、国際社会

からの非難や制裁、反アパルトヘイト運動の激化を受け、デ・クラーク大統領

により、撤廃に向けての改革が進展します。



1991年には関連法が全廃され、1994年4月には、南ア史上初めて黒人を含む

全人種が参加した制憲議会選挙及び州議会選挙が実施されて完全撤廃され

ました。



アバルトヘイトの完全撤廃が1990年代となった要因には、米ソの冷戦構造が

影響しているといいます。(ベルリンの壁崩壊は1989年、ソ連崩壊は1991年)



南アフリカ近隣のボツワナ・モザンビークといった国はソ連のバックアップを

受けていたため、南アフリカがソ連側に引き込まれることを恐れたNATO側

は南アフリカの白人政権を支持した背景があるとされます。


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主体性の回復
パン・アフリカ運動

パン・アフリカニズムを推進した
ガーナ初代大統領クワメ・エンクルマ(1909-1972年)


20世紀になる頃から植民地支配への抵抗がみられるようになり、

アフリカの主体性回復を求めるパン・アフリカニズムが叫ばれます。



1956年のモロッコ・チェニジア・スーダンの独立を始めてとして、

1960年には一挙に17ヶ国が独立し「アフリカの年」と呼ばれます。

独立にあたっては各国様々な困難を抱えていましたが、コンゴは

独立自体が悲劇となってしまいます。


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独立自体が悲劇となった
コンゴ

コンゴ動乱 (1960年)


ベルギー領コンゴは独立直前までアフリカ人の政治参加を認めていませんでした。

1959年、首都レオポルドヴィル(現キンシャサ)で暴動が起こると、ベルギー政府は

わすが5ヶ月で独立を与えることを決定。移行への整備がほとんどなされないまま

ジョセフ・カサブブを大統領とし、パトリス・ルムンバを首相として国家運営が始まり

ます。



しかし、地方分権的な連邦制を主張するカサブブと、全地域を統合した中央集権を

主張するルムンバの不一致は払拭されないまま、カタンガ州のモイゼ・チョンベも

連邦制を主張していました。



独立後、アフリカ人の昇進を拒むベルギー人司令官に対する軍隊の反乱が起こる

とベルギーの軍事介入が事態の混乱に拍車をかけます。さらにチョンベがカタンガ

州の分離独立を宣言。背景には、世界有数の銅・コバルトなどの鉱物資源をもつ

カタンガ州の利権を確保しようとするベルギーの後押しがありました。



ルムンバは国連軍の派遣を要請しますが、国連軍は鉱山会社とカタンガ政権を

保護する態度をとり派遣に消極的でした。ルムンバのソ連への歩みよりを危惧

したアメリカはCIAを送ったとされます。



国連とアメリカの後押しを受けたモブツ大佐のクーデターでルムンバは逮捕され、

その4ヶ月後チョンベのもとに送られて殺害されます。



○プリマヴェーラ|悲劇によって道義を知る「虞美人草」


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政治・経済だけでなく
精神までも植民地化

ケニアの作家 グギ・ワ・ジオンゴ


アフリカを世界史の周縁に追いやったヨーロッパ近代は、アフリカを政治

的に植民地化し、経済的に従属させただけではなかった。ヨーロッパ社会

の制度やシステムは普遍的であり、その文化や価値観は進歩的だとして、

アフリカがそれまで独自に発展させてきた社会・文化の上に君臨してきた。



そしてアフリカ人の精神までも植民地化しようと試しみたのである。こうした

状況の中で、アフリカ文化の将来にとって最も肝要なのは、精神の非植民

地化を図ることであると喝破したのは、ケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴであった。



ケニアにおいても、アフリカの他の多くの地域と同様、キリスト教ミッションを

中心としたヨーロッパの文化が、植民地支配と二人三脚で侵入してきた。

その圧倒的攻勢の前に、自前の伝統文化や民族的価値の発展の芽は、

早い時期から摘み取られてしまった。



キリスト教的価値の移植と植民地支配の合理化のために、それらは野蛮で

劣ったもの、近代化を妨げるものとみなされたのである。



その典型例の一つが言語の問題に凝縮されている。19世紀末のベルリン

会議はアフリカを領土的に分割したが、この時、アフリカは同時に宗主国の

言語別に分割されたのであった。



現在、アフリカには800とも1000ともいわれる民族諸言語が存在しているが、

その中でも最も発展度が著しいといわれるスワヒリ語でさえ、この言語は

具象物を指すのには適しているが、抽象的思考はできない。



※新書アフリカ史 宮本正興, 松田素二(編) 講談社現代新書 1997



○善と悪を兼ね備える人間|善の基礎となる個人性の実現


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エチオピア女性の
ゲリラ部隊への参加

女性兵士


エチオピア北部ティグライ州で1975年に結成されたティグライ人民解放戦線

(TPLF)は、結成当初から女性が参加していたといいます。



ティグライに住む女性の日常は、家事や水汲み、薪ひろい、農作業、子守・

子育てといった仕事に従事し、日常生活においても結婚においても従属的な

立場にあったといわれます。



そのような立場にあった女性が生死を伴う危険なゲリラ部隊に積極的に参加

した背景には、性別や宗教、貧富に拠らない同等の扱い、主体的な生き方が

そこにはあったからだとされます。



※アフリカ史の探求3 2018.05
 講師 眞城百華 先生 (上智大学准教授)
 7.アフリカ史における女性
 放送大学文京学習センター



○セクシュアリティとジェンダー|文学にみる女性観


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形式からの脱却
主体的な魂を取り戻す

セレンゲティ国立公園(Serengeti National Park) タンザニア 世界遺産


アフリカ諸国の独立から今日に至るまでの紛争や貧困・債務依存体質といった

諸問題は、歴史的背景と密接に関連していることが伺えます。



植民地化は、アフリカを政治的・経済的に従属させただけでなく、それまで独自

に発展させてきた社会や文化・言語を奪い、精神までも従属させてきたようです。



1990年代、アフリカは冷戦終結を受けて民主化の時代を迎え、多くの国々が

複数政党制へ移行しますが、実態は言論の自由が欠如するなど形式的に

留まっているといわれます。



○私が私になってゆく|ハイデガー「存在と時間」

○人類から遠く離れた孤独の中に住む 世界の本質


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進化しすぎた人間
絶滅に向かう日本人

コンペ国立公園(タンザニア)に住むチンパンジー
Gombe Stream National Park, Tanzania


※進化しすぎた日本人 杉山幸丸 中央公論新社 2005
 第一部 絶滅に向かう日本人
 第二講 暴走する少産多保護−小さな「きょうだいサイズ」は自立不全を招く



  生物はたくさんの卵を産んでも、その多くが早いうちに死滅してしまう。

  …魚類では一時に数百万から億の単位で産卵するものさえいる。

  …それでも、どの種類もあまり数が増えないのは、そのほとんどすべて

  が次の世代を作る前に死んでしまい、親の数程度しか残らないことを

  示している。 (※1.安全確実な繁殖様式の進行 p39-40)




  …そこで生物は、繁殖にかける努力の一部を、たとえ産卵数を減ら

  しても子の保護につぎ込むようになった。そのほうが同じだけの投入

  エネルギーで安全確実に子孫を残せるからだ。これを「少産多保護」

  と言う。


  …こうして、親の子に対する保護量が増えるだけでなく、次第に保護

  が長期化し、親は最後の子を産んでもあっさり死ぬわけにいかなくなる。

  さらにその子が成熟したあとも、間接的ながらも子の世話または保護

  をするために生き続ける必要が高まった。親の長寿命化の始まりである。

  (※3.子の保護が親の長寿を促した p47-48)




  …こうしてモンゴロイド人種の中の日本人という民族は、親よりずっと

  少ない子しか残さず、絶滅への道をひた走るようになった。安全確実

  に子孫を残す方策だったはずの少産多保護が日本では暴走し、絶滅

  への先導役になりつつあるのだ。


  …なぜ暴走などという現象が起きるのか。…一言でいえば各個体が

  自分の目前の利益を優先して、遠い将来のことが視野から外れてい

  るからである。 (※5.絶滅への道 p52-53)





2018年6月1日に厚生労働省が発表した前年(2017年)の出生率は1.43。

出生数は94万6,060人で、前年(2016年)より3万918人減少し、

1899(明治32年)の調査開始以来、過去最少を記録したそうです。



○財政健全化への取組み|失われた25年から学んだこと


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なれのはての
自己家畜化・ペット化現象

「白貂(しろてん)を抱く貴婦人」 レオナルド・ダ・ヴィンチ チャルトリスキ美術館
(植民地時代、ヨーロッパではアフリカ人をペットとしても飼ったといわれます)


※進化しすぎた日本人 杉山幸丸 中央公論新社 2005
 第三部 清潔病と自己ペット化
 第九講 なれのはての自己家畜化・ペット化現象
       −将来像を狭めて子孫をペットにしている p194-195



再三触れてきた少産多保護は一人の子どもにかける親の保護の質と量を

明らかに変化させた。一人の子どもかける保護の量、すなわち投資額が

多くなればなるほど、親の子どもに対する期待がタケノコのようにぐんぐん

と生長する。



投資が増えたのだから、自分の期待も増大させるのは自然の成り行きである。

だから親は、自分の子どもの将来にまで規制をかけるようになる。「有名大学

に入れなければならない」「一流企業に就職させなければならない」「相応の

地位にある身元のたしかなお相手と結婚させなければならない。そして課長

に、さらに部長に昇進させなければならない」などなど。



こうして現代人は、厳格な定義で熟考してさえ否定できないほど、「繁殖が

管理された状態」になってしまった。そして子どもはほんものの家畜や飼養

(しよう)動物同様に、「従順な」動物になってしまったのである。



子どもから見れば、こちらにもまた家畜や飼養動物と同じように、そのほうが

余計な苦労をせずに多くの保護(収益)を親(飼い主)から獲得する近道だし、

浅はかな頭脳で考える範囲では、「安全確実に」生き永らえることができそう

だからだ。



○破壊と再生|日本型うつ病社会に別れを告げて

○精神自由の再生|ルネサンス都市フィレンツェ


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「サル化」する人間社会
個人の利益と効率を優先するサル的序列社会

ゴリラの社会には上下関係や「負け」がないといわれます。
全世界のマウンテンゴリラの半数が生息するヴィルンガ(ウガンダ・ルワンダ・コンゴ国境)


※「サル化」する人間社会 山極寿一 集英社インターナショナル 2014
 第七章 「サル化」する人間社会


サルの社会は、個体の欲求を優先します。個体にとっての利益とは、

「なるべく栄養価の高いものを食べること」と「安全であること」です。

サルは群れの中で序列を作り、全員でルールに従うことで、個体の

利益を最大化しています。自分より強いサルの前では決して食べ物

に手を出さないのは、食べ物をめぐるトラブルを未然に防ぐためです。

あらかじめ勝ち負けを決めておき、勝ったほうが食べ物を独占するのです。

(※サルは所属する集団に愛着を持たない p157-158)




家族も共同体もなくなってしまったら、人間は帰属意識を失います。人間

は、互いに協力する必要性も、共感する必要性すら見出せなくなっていく

でしょう。



個人の利益さえ獲得すればいいなら、何かを誰かと分かち合う必要もあり

ません。他人を思いやる必要もありません。遠くで誰かが苦しんでいる

事実よりも、手近な享楽を選ぶでしょう。どこかの国の紛争なんて、他人事。

自分に関係ないから共感なんてする必要もない。これはまさにサルの社会

にほかなりません。



サルの社会に近づくということは、人間が自分の利益のために集団を作る

ということです。そうなれば、個人の生活は今よりも効率的で自由になります。

しかし、他人と気持ちを通じ合わせることはできなくなってしまいます。



もしも本当に人間社会がサル社会のようになってしまったら、どうなるの

でしょうか。サル社会は序列で成り立つピラミッド型の社会です。人を負かし

自分は勝とうとする社会とも言い換えられます。そんな社会では、人間の

平等意識は崩壊するでしょう。

(※個人の利益と効率を優先するサル的序列社会 p164)




○善すなわち美|自己内対話によって培われる無私の精神


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それにもかかわらず、私たちは
何が善で、何が悪かについて考えない訳にいかない

「快楽の園」 ヒエロニムス・ボス プラド美術館


※1Q84 BOOK1 <4月-6月> 後編 村上春樹 新潮文庫 む-5-28 2012
 17章 (青豆) p145


私も歴史の本を読むのが好きです。歴史の本が教えてくれるのは、私たち

は昔も今も基本的には同じだという事実です。服装や生活様式にいくらか

違いはあっても、私たちが考えることややっていることにそれほどの変わり

はありません。人間というものは結局のところ、遺伝子にとってのただの

乗り物(キャリア)であり、通り道に過ぎないのです。



彼らは馬を乗り潰(つぶ)していくように、世代から世代へと私たちを乗り継い

でいきます。そして遺伝子は何が善で何が悪かなんてことは考えません。

私たちが幸福になろうが不幸になろうが、彼らの知ったことではありません。

私たちはただの手段に過ぎないわけですから。彼らが考慮するのは、何が

自分たちにとっていちばん効率的かということだけです。



○善と悪を兼ね備える人間|善の基礎となる個人性の実現


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あふれる力でともに未来へ
アフリカの開発をテーマとする国際会議

第7回アフリカ開発会議(2019年)が開催される横浜


アフリカの開発をテーマとする国際会議 TICAD。

(Tokyo International Conference on African Development : アフリカ開発会議)



日本政府が主導し、国連・国連開発計画(UNDP)・アフリカ連合委員会(AUC)

及び世界銀行と共同で開催されているそうです。



1993年に第一回TICADが開催され(以降5年毎に開催、2016年以降は3年毎に

開催)、2019年の第7回会議は横浜で開催されます。



横浜市の「TICAD Z」への取組テーマは、

「アフリカと横浜、あふれる力でともに未来へ」が掲げられています。


英語 : 「Africa and Yokohama, Sharing Passion for the Future」
仏語 : 「Afrique et Yokohama, partageant une passion pour le futur」



※UNDPセミナー「アフリカ開発とアフリカ開発会議(TICAD)」 2018.06
 講師 小松原茂樹 先生 UNDPアフリカ開発会議(TICAD)プログラムアドバイザー
 横浜国立大学経済学部講義棟2号館 ・ 椛島研究室

※横浜市国際局「国際・経済・港湾委員会資料」 2018.03



○新と旧・過去と未来が融合し発展する横浜

○創造的生命力を生み出す愛|夏目漱石「吾輩は猫である」


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参  考  情  報


○African Union|アフリカ連合

○アフリカ開発会議(TICAD) | 国連開発計画(UNDP)

○京都大学 霊長類研究所 Primate Research Institute, Kyoto University

○魅力的なフリー画像 ・ Pixabay

○Wikipedia

○アフリカ史の探求3 2018.05
 ・講師 眞城百華 先生 (上智大学准教授)
 ・テーマ
  ・植民地支配以前のアフリカ
  ・植民地支配の構図
  ・独立運動の展開と脱植民地化
  ・脱植民地化の課題
  ・国民国家建設の課題
  ・アフリカとジェンダー
 ・放送大学文京学習センター

○アフリカの新たなビジョン 東京国際会議 2018.05
 共催 聖エジディオ共同体、上智大学、立正佼成会
 会場 上智大学四谷キャンパス10号館講堂

○東ティモール・フェスタ2018
 上智大学四谷キャンパス9号館
 上智大学・東ティモール・フェスタ実行委員会ほか

○アフリカの未来世代写真展 2018.05
 上智大学・図書館

○UNDP(国連開発計画)セミナー 2018.06
 「アフリカ開発とアフリカ開発会議(TICAD)」
 講師 小松原茂樹 先生
     UNDPアフリカ開発会議(TICAD)プログラムアドバイザー
 会場 横浜国立大学経済学部講義棟2号館
 椛島研究室

○海の海賊に気をつけろ! 2016.03
 講師 杉原耕二 先生 元海上自衛隊・インド洋派遣部隊指揮官
 会場 記念艦「三笠」講堂
 主催 (交社)日本船舶海洋工学会・海洋教育推進委員会
 協力 (交財)三笠保存会・よこすか市民会議(YCC)
 後援 横須賀市教育委員会、教育新聞社
 第20回海洋教育フォーラム 私たちの海「海をまもる」

○グレートジャーニー 人類の旅〜この星に、生き残るための物語
 国立科学博物館 2013年3月16日〜6月9日

○新書アフリカ史 宮本正興, 松田素二(編) 講談社現代新書 1997

○アフリカ学への招待 米山俊直 NHKブックス 1986

○スワヒリ都市の衰退 富永知津子 山川出版社 2008

○サハラが結ぶ南北交流 私市正年 山川出版社 2003

○アフリカで誕生した人類が日本人になるまで 溝口優司 SB新書 2011

○映画「ルムンバの叫び」

○ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」 山極寿一 毎日新聞出版 2018

○「サル化」する人間社会 山極寿一 集英社インターナショナル 2014

○野生のゴリラと再会する 二十六年前のわたしを覚えていたダイタスの物語
 山極寿一 くもん出版 2012

○進化しすぎた日本人 杉山幸丸 中央公論新社 2005

○第5回 京都大学−稲盛財団合同 京都賞シンポジウム
 生命の神秘とバランス 2018.07
 ○生命とは何か?それは動的平衡
  福岡伸一 先生 青山学院大学 総合文化政策学部 教授
 ○小胞体ストレス応答:タンパク質の品質を管理する細胞応答
  森和俊 先生 京都大学 理学研究科 教授
 ○細胞の死と死細胞の運命
  長田重一 先生 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター栄誉教授
 ○酵母から見えてきたオートファジーの世界
  大隅良典 先生 東京工業大学 科学技術創成研究院 栄誉教授
 ○パネルディスカッション
  福岡伸一 先生
  森和俊 先生
  長田重一 先生
  大隅良典 先生
  山極壽一 先生 京都大学総長
 ○会場 有楽町朝日ホール

○森林と草原のモザイク地帯にすむボノボ 2017.12
 講師 伊谷原一 先生 京都大学 野生動物研究センター 教授
 会場 京都大学東京オフィス
 第89回 京都大学丸の内セミナー

○「人種神話を解体する―科学と社会の知」出版記念 連続セミナー@東京
  京都アカデミアフォーラム in 丸の内 2017.11
<第一回 人種研究と日本の人文科学>
 ○坂野徹 先生 (日本大学経済学部 教授)
  ―日本の考古学と人種研究
 ○関口寛 先生 (四国大学経営情報学部 准教授)
  ―日本近代の民衆統治と科学的人種主義
<第二回 ヒトの多様性に関する最新の成果から>
 ○太田博樹 先生 (北里大学医学部 准教授)
  ―人類集団遺伝学にとって“集団”とは何か?
 ○瀬口典子 (九州大学大学院比較社会文化研究院 准教授)
  ―「人種」優劣と植民地主義に繋がった自然人類学
<第三回 人類研究とマイノリティ>
 ○石井美保 先生 (京都大学人文科学研究所 准教授)
  ―身体の贈与と共同体の生成―インドの事例から
 ○日下渉 先生 (名古屋大学大学院国際開発研究科 准教授)
 ―ハンセン病者のアナキズム―フィリピンでアメリカの植民地秩序を変える
<座談会「人類集団の分類とカテゴリーをめぐって」>
 太田博樹 先生 ・ 篠田健一 先生 ・ 田辺明生 先生 ・ 徳永勝士 先生 ・
 坂野徹 先生 ・ 竹沢泰子 先生


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