循環型社会の基盤にあるもの

強さばかりでなく、弱さに目を向ける


| きれいなまちに | ごみ焼却施設 | ごみの水分 | ごみ処理費用 | 投入ステージ | 縦割りから横断型へ |
| ごみピット | クレーン | 焼却灰の利用 | 中央管制室 | 発電所の機能 | ごみ収集の変遷 |
| パッカー車の導入 | 南本牧ふ頭 | コンテナターミナル | 東京都の処分場 | 神明台 | 臨港道路 |
| 見学会 | 道路舗装 | 熱中症との闘い | 首都高へのアクセス | 海水浴ができた本牧 | 水環境の未来像 |
| 新たな環境基準 | 鉄鋼スラグの活用 | 石炭火力発電所 | 人間の弱さを認める | むなしさ |
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きれいなまちに
全ての市民がゴミで困らないまちを目指して

ごみ収集車(パッカー)


横浜市の家庭から出される燃やすごみには生ごみが3割以上、

量にして年間約20万トン含まれているそうです。

そのうちの約2万トンは食品ロスである「手つかずの食品」だといいます。



※きれいなまちに2016 横浜市資源循環局より



○食・農・里の新時代を迎えて|新たな潮流の本質


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温室効果ガスを発生する
ごみ焼却施設

ごみ収集車の計量施設
横浜市資源循環局 旭工場 (資源循環型ごみ処理施設)


ごみ処理に伴って発生する温室効果ガス総排出量のうち、

約9割が焼却工場でごみを焼却することによって排出されているそうです。

その燃やすごみの焼却に伴い排出される温室効果ガスの約8割は、

プラスチック類の焼却によるものだといわれます。



「燃やすごみ」の中には、

分別してリサイクル可能なプラスチック類や古紙などがまだ多く含まれており、

排出される量の約40%が分別されずに燃やされているそうです。



○いのち集まる流域 小網代の森|私たちが生きる地球の持続可能性


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収集車の計量
ごみの水分が減ることによるメリット

ごみ収集車の運転席
バックミラーでは車両後部は見えない為、代わりに映像モニタになっています


収集車の重量を軽量する施設。ごみを載せた状態と、

ごみを排出した後に計量を行い、その差をごみ重量とするそうです。



生ごみの約80%は水分で占めているといわれ、

ごみを水に濡らさない工夫や濡れたごみを乾燥することによって、

重量を減らすことができ輸送効率が良くなる上に、

焼却時に水の蒸発に使われていたエネルギーが減る分、

CO2削減や発電に使えるエネルギーが増加するメリットがあるとされます。


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横浜のゴミ処理費用は
400億円強

収集車の後部に取り付けられているカメラ


横浜市のゴミと資源にかかわる費用は433億円(平成26年度)で、

一般会計の3.0%を占めるといいます。


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収集車のごみを排出する場所
投入ステージ

投入ステージは臭気が外部に漏れないよう工夫されているそう


収集車は計量が終わると、投入ステージと呼ばれる場所に進み、

「ごみピット」にごみを投入します。



投入ステージ内は負圧(ふあつ)が保たれ臭気が外部に漏れないようになっており、

また、投入扉は収集車が前に停車した時に自動的に開閉するそうです。




※負圧(ふあつ)

  負圧とは、大気圧より低い圧力にある状態のこと。天気にあてはめてみると、

  一般に風は高い圧力(高気圧)から低い圧力(低気圧)に向かって吹くことが

  知られています。このような原理により投入ステージの圧力を下げることで

  外部に臭気が漏れることを防いでいるそうです。


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循環型社会の形成
縦割りから横断型への思想の転換

収集車・運転席の映像モニタで見た「ごみピット」の様子


限りある資源・エネルギーを有効活用し、環境負荷の低い社会を目指していくためには、

これまで縦割りで捉えがちだった行政・事業者・市民を横断的に捉え直し、

3R(Reduce:発生抑制、Reuse:再使用、Recycle:再生利用)を

協働で推進することが大切だといいます。


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ごみを貯留する
ごみピット

クレーンは1回で4トンほど掴むことができるそう


ごみ量の変動、焼却量の変動に対応するため、ごみを一旦貯留する「ごみピット」。

ここからクレーンでごみを掴み、焼却炉に投入します。


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ごみを焼却炉に投入する
クレーン操縦室



ごみピットから焼却炉にごみを投入するクレーンの操縦室。

クレーンは24時間365日稼働しているそうです。



クレーンの操縦にあたっては、燃えやすいようにごみを撹拌(かくはん:かき混ぜる)したり、

焼却炉にごみが詰まらないようにするなど、効率的な焼却ができるよう配慮しているとの事。



私たちが当たり前のようにごみを出せるのは、

日常では触れることのない焼却施設の業務があってこそ成り立っていると実感します。


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ごみクレーンでの投入 横浜市資源循環局 旭工場

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道路舗装に利用される
焼却灰

スラグ(副産物・かす)


横浜市のごみ焼却施設では、ごみを燃やした後に出る焼却主灰は

約1,500℃の温度で溶融し、スラグ化して道路用路盤材(どうろようろばんざい:

舗装道路表面と路床(ろしょう:道路の床)との間に敷き詰める材料)

として利用されているそうです。



スラグ(slag)は、一般的に鉄鋼製造工程において発生する副産物を指しますが、

ごみを焼却施設で処分したときに発生する副産物もスラグと呼ばれるそうです。


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プラント全体の運転・監視を行う
中央管制室



焼却炉やタービン発電機などの機器は、

コンピューターにより起動・運転・停止などを自動で行っているそうです。



運転員さんがプラント全体の運転・監視をしているおかげで、

公害発生などのリスクを未然に防ぐことができ、私たちは安全・安心に暮らせるようです。


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発電所の機能をもつ
ごみ焼却施設

蒸気から動力を得るタービン(青色・左側部分)と発電機(右側部分)


旭工場では、燃焼ガスを利用して発電を行っており、

一般家庭の約21,000世帯分に相当するのだそう。



発電した電気は工場の稼働に活用されるほか、隣接する温水プール、

老人福祉施設の電気を賄い、余剰分は電力会社に販売しているそうです。


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ごみ収集の変遷
手車や牛車による収集

明治時代から昭和40年まで行われた
手車(大八車)によるごみの収集


明治時代の横浜では、手車によってごみの収集を行ってきました。

それぞれの家から手車で収集したごみを地域毎に集め、

これを牛車に積替えて処分場まで運んでいたほか、

河川を利用したごみ運搬船による水上輸送を行っていました。



昭和4(1929)年には自動車による収集が導入され、

昭和20(1945)年代の後半になるとごみの運搬はトラックによって行うようになり、

昭和31(1956)年にごみ運搬船は終了しました。



※横浜市資源循環局 旭工場 ごみ収集の変遷より



○変わりゆくこと 変わらないこと|開港から目まぐるしい変化を遂げた横浜


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パッカー車の導入
ステーション方式への移行

機械式ごみ収集車(パッカー車)


昭和30年代に入り、現在のごみ収集車の原型である

機械式ごみ収集車(パッカー車)が導入されました。

これにより、明治時代から活用してきた手車(大八車)は昭和40年に全廃となりました。



機械式ごみ収集車(パッカー車)の大量導入や

小型車4台分のごみを運搬できる大型車の導入により、

収集体制を近代化・効率化し、週2回以上のごみ収集を可能としました。



また、これまでのごみ収集は、それぞれの家に設置された

ごみ箱から収集する各戸(かっこ)収集方式でしたが、

昭和35年より、現在と同じステーション方式によるごみ収集方式に移行しました。



※横浜市資源循環局 旭工場 ごみ収集の変遷より


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東京湾に浮かぶ廃棄物最終処分場
南本牧ふ頭

国土交通省・関東地方整備局 京浜港湾事務所
(2016年1月撮影 横浜市提供)


東京湾に浮かぶ南本牧ふ頭は、横浜市の廃棄物最終処分場になっています。

平成5年度から埋立が行われてきた第2ブロック(画像:右中央)は、

現在(平成28年)も活用されており、

ゆくゆくは第5ブロック(画像:右下)にて埋立が行われるそうです。


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日本最大水深のコンテナターミナル
南本牧ふ頭

MC-1に接岸するコンテナ船


平成23年4月の改正港湾法の施行により国際コンテナ戦略港湾に

指定されている京浜港(横浜港・川崎港・東京港)。



「海洋国家日本の復建」の一環として、大型化が進むコンテナ船に対応し、

アジア主要国と遜色のないコスト・サービスの実現に向けて、

南本牧ふ頭では大規模コンテナターミナルの整備が行われています。



2015(平成27)年には、日本最大となる岸壁水深18mをもつ

MC-3ターミナルの整備が完了し、供用を開始しました。



MC-3・4岸壁は、大規模地震発生時における国際物流機能を維持するため、

耐震構造になっているそうです。



※横浜港 南本牧ふ頭地区コンテナターミナル整備
 国土交通省 関東地方整備局 京浜港湾事務所、横浜港埠頭鰍謔



○海運が支える日本の豊かな暮らし

○未来に夢をのせて|持続可能な最幸のまち かわさき


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世界最大のコンテナ船が横浜に初入港/神奈川新聞(カナロコ)
トリプルE級「Marstal Maersk(マースタル・マークス)」 2014.05

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東京湾に浮かぶ
東京都の廃棄物最終処分場

窓の向こうに見える陸地が処分場
近隣にはお台場のある臨海副都市や羽田空港があります
視察船 新東京丸より 2016.08


東京湾に浮かぶ東京都の廃棄物最終処分場。

1977年に埋め立てが開始されたそうです。



東京23区のごみ量は1985年頃から急増し、1990年には490万トンと過去最高に達し、

当時、「ごみ戦争」といわれるまで事態は緊迫。

その後、ごみ量は減少を続け、2015年には278万トンになっているそうです。



※東京都環境局より



○未来を創るつながりのはじまり 臨海副都心

○FLY TO THE WORLD 羽田空港


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かつての横浜の廃棄物最終処分場
神明台

スポーツ施設が整備され市民に開放されています


昭和48年から平成23年3月末まで、廃棄物の埋め立てが行われてきた神明台処分場。

埋め立て終了後は、定期的に大気・放流水・土壌などについて、

環境調査が実施され、処分場周辺に影響を与えないよう環境保全に努めているそうです。



一部の土地は暫定利用としてスポーツ施設が整備され、

周辺地域への開放が行われています。



○Discover Tomorrow 新たなスポーツ文化の確立

○競技スポーツと生涯スポーツの融合を目指す スポーツクラブ・マネジメント


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陸上輸送の効率化を図り、国際競争力強化へ
本牧ふ頭地区臨港道路

ふ頭間を結ぶ臨港道路の建設(太い赤線)
国土交通省・関東地方整備局 京浜港湾事務所


コンテナ貨物の増大に伴い、

横浜港周辺を流動するコンテナ貨物車両は増加しているといわれます。



このため、南本牧ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ臨港道路を整備し、

物流関連車両の陸上輸送機能の強化を図ることを目的に整備が行われています。



臨港道路の整備によって港湾から高速道路へのアクセスが強化されることで、

物流の効率化が図れるそうです。


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本牧ふ頭地区臨港道路
見学会

完成が間近に迫った「横浜南本牧 本牧ふ頭地区臨港道路」 2016.11
2017年3月に開通


国土交通省 関東地方整備局 京浜事務所 主催の、

「横浜南本牧 本牧ふ頭地区臨港道路」見学会に参加することができました。



説明を受けながら2.5kmを徒歩で見学し、輸送機能が向上することを肌で実感します。

開通後は自動車専用道路になるそうです。


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南本牧橋梁架設工事/神奈川新聞(カナロコ)

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ごみ焼却施設で生成されたスラグも活用される
道路舗装

横浜南本牧 本牧ふ頭地区臨港道路


アスファルト舗装は通常、路床(ろしょう:道路の床)の上に

路盤層(ろばんそう)を形成し、その上にアスファルトを施工するそうです。



ごみ焼却場で生成されたスラグは、

路床とアスファルトの間に敷き詰める路盤材として活用されているそうです。


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道路作りは
熱中症との闘い

熱中症対策 移動式冷房休憩車両


アスファルトの温度は140℃前後あるといわれ、

作業はものすごく熱い中で行われているのだそう。



現場は屋外である上に、休憩する場所が限られることから、

とくに夏場は熱中症との闘いだといいます。

そのため、移動式冷房休憩車両を準備し、熱中症対策をとっているそうです。



劾IPPOご担当者より


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物流の効率化が高まる
首都高へのアクセス

本牧ふ頭地区臨港道路と首都高速湾岸線をつなぐ
新設ランプ(連絡路)


本牧ふ頭地区臨海道路と首都高速湾岸線をつなぐ新設ランプ。

既存の本牧ふ頭ランプを利用する場合には12分かかるのが、

新設ランプの設置により3分に短縮されるそうです。


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自然豊かな海岸線が広がっていた
本牧

かつての海岸線に沿って走る首都高速湾岸線
左側はJXエネルギー轄ェ岸製油所、右側には三渓園があります


本牧はかつて半農半漁の小さな村であり、人々は漁業や海苔の養殖を行い、

その豊かな自然からの恵みを受けて暮らしていたといわれます。



ペリーの来航によって開港した横浜には外国人が住む居留地が形成され、

外国人たちは本牧近辺で海水浴を楽しんでいたよう。



その後、多くの人々が海水浴に訪れますが、

1963(昭和38)年に産業用地造成のために海水浴場は埋め立てられます。



当時の海岸線は、現在の首都高速湾岸線が通っている辺りだったといわれます。



○潮風に導かれ、開国ロマン溢れる浦賀へ

○東京湾を望む広大な日本庭園 三溪園

○日本初の洋式競馬場が残る根岸森林公園


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水環境の未来像
多方面の視野で意見交換する大切さ

プランクトンの異常繁殖によって発生する赤潮


赤潮や青潮が発生することが少なくない東京湾。

特に夏場は赤潮が定常化しているそうです。



赤潮は、生活排水や工場排水などに含まれる窒素・りんなどが

海に流れることによって海水の栄養分が多くなり、

プランクトンが急激に異常繁殖して、水の色が変わって見える現象のことだそう。



増殖したプランクトンの呼吸作用によって海中の溶存酸素量が低下したり、

有毒なプランクトンによって魚介類に被害を与えるといわれます。



青潮は、海水が少し青または緑がかった白色に濁る現象で、

海水中の酸素が無くなり、魚介類が死んでしまうそうです。



長期にわたり、既存の環境基準値である窒素・りん・COD(水質汚濁の指標)

の調査に加えて、生物生息状況、酸素量、透明度などの調査を行ってきた

東京都環境局によると、水環境の未来像を考えるにあたっては、

既存の環境基準値だけでなく、生き物の動向とその変化要因をみる必要があり、

そのためには、過去の事例や他海域の事例に学び、

各方面の視野で意見交換することが大切だといいます。



※東京湾の水環境〜長期的変遷
  講師 風間真理 先生 環境カウンセラー 元東京都環境局 水環境課
 ・横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター シンポジウム
  「横浜から海洋文化を育む」 第14回 東京湾の水環境の未来像を考える
※COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)
 水質汚濁の指標であり、工場排水の指標としても用いられる



○生命の跳躍|海洋を統合的に理解する

○水と共に暮らす|いつまでも美しく安全に


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新たに環境基準に加えられた
底層溶存酸素量

東京湾にある盤州干潟(ばんずひがた)
背後にアクアラインと海ほたるが見えます


※底層溶存酸素量(ていそうようぞんさんそりょう)
 水面下の底層から海面に向かって1m程度以内の水中にある酸素量。
 底層を利用する生物(アサリ・ヒラメなど)の生息・再生産にとって重要な指標。



既存の環境基準であるCOD(化学的酸素要求量)、窒素、りんは、

有機汚濁物質(ゆうきおだくぶっしつ)及び富栄養化をもたらす指標として設定され、

負荷削減のための排水基準・総量規制基準としての設定とあわせて、

環境水の状況を表しつつ対策と結びつける役割を担ってきた。



一方で、貧酸素水塊(ひんさんそすいかい⇒酸素が乏しい海水のかたまり)の発生や

藻場(もば⇒海草の群生)・干潟(ひがた)等の減少、

水辺の親水(しんすい⇒国民が水に親しむ)機能の低下等の課題が残されている。



そのため、新たな指標として、魚介類等の生息や藻場等の生育に対する

影響を判断できる指標、国民が直感的に理解しやすい指標として、

「底層溶存酸素量」と「沿岸透明度」について検討が行われてきた。



平成27年12月7日に中央環境審議会から答申がなされ、

答申を踏まえ、平成28年3月30日に環境基準告示を改正。

「底層溶存酸素量」を環境基準に追加した。

沿岸透明度については、環境基準ではなく地域環境目標として設定する。



※閉鎖性海域における最近の環境対策について 2016.12
 講師 根木桂三 先生 環境省・大気環境局 水環境課 閉鎖性海域対策室長
 横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター シンポジウム
 「横浜から海洋文化を育む」 第14回 東京湾の水環境の未来像を考える


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鉄鋼スラグを用いた
海域環境改善の取り組み

スラグは鉄鋼生産に伴って生成されるそう


JFEスチール鰍ナは、鉄鋼生産に伴って生成する鉄鋼スラグを利用して、

海域環境改善に取り組んでいるそうです。



スラグから作られた製品の一つ「マリンストーン(R)」は、

ヘドロが堆積して悪化した底質上に散布することで、

硫化水素やリン酸イオンを化学的に吸着し、

水中環境を長期に亘って改善することができるといいます。



※鉄鋼スラグ製品を用いた海域環境改善の取り組み 2016.12
 講師 宮田康人 先生 JFEスチール スチール研究所
 横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター シンポジウム
 「横浜から海洋文化を育む」 第14回 東京湾の水環境の未来像を考える


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世界で最もクリーンな
石炭火力発電所

電源開発 磯子火力発電所


南本牧ふ頭に近接する場所に立地する電源開発活骼q火力発電所は、

昭和40年代はじめに、国の石炭政策に沿って建設された火力発電所だそうです。



かつて日本の主力エネルギーだった石炭は、

世界中に分布し、資源量が豊富で、安定的・低価格という特徴があり、

国際エネルギー機関(IEA)の世界の発電見通し(WEO2015)では、

石炭の需要は今後も増加していくとみられています。



磯子火力発電所は、日本で初めての公害防止協定を横浜市と締結し、

いちはやく排煙脱硫装置を設置するなど、環境保全対策に力をいれてきたそうで、

アメリカ・中国・インドの石炭火力を全て磯子火力発電所並みの効率にすると、

15.1億トンのCO2削減効果があるといいます。

(日本全体のCO2排出量は13.4億トン)



※石炭火力と環境
 講師 小谷十創 先生 電源開発株式会社 磯子火力発電所 所長
 過去に学び、これからの環境保全を考える講演会 2016.11
 横浜市環境創造局・横浜市環境保全協議会


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安全・安心の実現と活力ある社会
リスク共生社会の創造

福島第一原子力発電所


安全とは、リスクがまったくない状態ではなく、許容できるレベルにリスクが

おさえられている状態をいい、安心は、リスクが小さいと思う人間の心理状態のことだそう。



日本人はリスクに対して極めて敏感で、ゼロリスクを求める傾向があり、

安全よりも安心を重視する特徴があるといわれます。

そして、不確実性を回避できないと解ると、

目を背けたり(無かったことにしたり)と、心理的に抑圧するようです。



自動車は便利である一方、交通事故が発生するリスクがあり、

経済発展は社会を豊かにする一方、公害や自然破壊といったリスクがあるように、

社会に影響をもたらす政策や技術は、私たちに好ましい影響を与えると同時に

好ましくない影響をもたらします。



好ましい影響だけを選択することは難しく、私たちはリスクの存在を認識し、

どのようなバランスで受け入れるか選択していく必要があり、

どのリスクを選択するかによって到達する未来は異なってくるといわれます。



※リスク共生社会の概念 2016.12
 講師 野口和彦 先生 横浜国立大学 リスク共生社会創造センター長
 第5回シンポジウム「 リスク手法の有効性と課題を考える」、他より



○持続可能なモビリティ社会を目指して|日産追浜グランドライブ体験試乗

○日本人の心を形成してきたもの|これからを生きる指針となるものを探る

○人間の心のあり方を理解する|日本人の精神性を探る旅


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持続可能な循環型社会を目指して
人間の弱さを認める

横浜最大の緑地 つながりの森


※T.S. エリオット 伝統論より

  伝統とは、単に昔の通りのことを反復し繰り返すのではなく、

  昔の精神、古典主義的なものから何かを学び取って、

  それによって新たに展開するもの




日本では、これまで災害が発生するごとに規制強化や公費投入が行われ、

災害に対応する形で、より安全な今日の社会を築いてきたのだそう。



過去を振り返ってみると、

日本人は経験してきたことや対応可能な事象への対応は迅速だった一方、

経験していないことや対策不可能な事象へは目を背けてきた側面があるといいます。



日本人は、問題解決を重視してきた結果、安全の本質よりも答えを求める姿勢が強く、

目前の課題や自分が担当する課題の解決に注力する傾向があり、

その課題対応によって発生する新たな課題に対して関心が薄かったり、

把握する技術がなかったりする場合が多いのだそうです。



また、施策の是非については、推進したい場合にはメリットを強調し、

止めさせたい場合にはデメリットを強調するといったように、

片一方のみに偏る傾向があるとされます。



今後、更なる安全・安心な社会を築いていくためには、

問題解決を迅速にしてきた「強さ」ばかりでなく、目を背けてきた「弱さ」を認める姿勢、

メリットやデメリットの一方を強調するのではなく、両面から捉えていく姿勢が大切のようです。



※ダンカン・ワッツ 偶然の科学より

  興味深いことや、劇的なことや、悲惨なことが起きるたびに、

  われわれは、無意識のうちに説明を探すのだが、

  出来事があってはじめて説明を求めるせいで、

  「起こってもおかしくなかったが起こらなかったこと」よりも、

  「実際に起こったこと」の説明に偏り過ぎる



※阪神淡路大震災・東日本大震災から学ぶべきこと
 −再発防止から未然防止へ− 2016.11
 講師 野口和彦 先生 リスク共生社会創造センター長
 YY講座 多角的リスクのマネジメント
 横浜国立大学・読売新聞横浜支局



○人と自然の共生|生きる力を研ぎ澄ます

○横浜最大の緑地 つながりの森

○ノーベル文学賞作家 T.Sエリオットが暮らしたマンション


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自分の弱さに驚かず
理性と正義を知っているかのように振る舞う人間

フランスの数学・哲学者 ブレズ・パスカル(Blaise Pascal)
ルーヴル美術館


※33 むなしさ
 「パンセ」 パスカル 塩川徹也 岩波文庫 2015 p53


  何とも驚き入るのは、世間の誰一人として自分の弱さに驚いていないことだ。

  人は真剣に行動し、各人は自らの境遇に従う。

  それが流行だからとじっさいにそうするのがよいというのではなく、

  各人あたかも理性と正義がどこにあるかを確実に知っているかのように振舞っている。



  ところが期待はいつでも裏切られる。

  それなのに、人はおかしな謙遜(けんそん)を発揮して、

  失敗したのは自分のせいであり、

  自分が会得したと始終自慢している技のせいではないと思い込んでいる。



  しかしながらこの世にこれほど大勢、懐疑論に従わない人々がいることは、

  懐疑論の名誉にとって好都合だ。それは人間が、どれほど常軌を逸した意見

  でも信じかねないことを示すのに役立つではないか。

  何しろ人間ときたら、生来の弱さは不可避ではなく、

  それどころか自分は生来賢いと思い込みかねないのだから。



  懐疑論に従わない人々の存在ほど、懐疑論を強化するものはない。

  もし全員が懐疑論者であれば、懐疑論は間違っていることになるだろう。



※懐疑論(かいぎろん)

 人間の認識力一般を不確実なものとし、客観的、普遍的真理の
 認識の可能性を疑っていっさいの判断を差し控える態度。



○哲学からみた人間理解|自分自身の悟性を使用する勇気を持つ


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目をそらすことで
幸せになる

単位「Pa(パスカル)」が用いられる圧力計
「パスカルの原理」に基づくそう


※気晴らし 133
 「パンセ」 パスカル 塩川徹也 岩波文庫 2015 p160


  人々は、死もみじめさも無知も免れることができないので、

  そんなことを考えずにすませることで幸せになろうとした。




※気晴らし 134 p160


  これほどの災難に取り囲まれていても、彼は幸せになりたい。

  幸せにしかなりたくない。幸せでなくてもよいとは考えられない。

  だがそのためにどうするのか。うまくやるには、不死にならなければならない。

  でもそれは無理な相談なので、そこから目をそらすことを思いついた。




※気晴らし 139 p174-175


  人々は子供のときから、自分の名誉や財産や友人を大切にするように、

  さらには友人の財産と名誉も大切にするようにしつけられる。

  身を砕くまで、商売、外国語の勉強あるいは武装の修行をやらされる。

  その上で、自分ばかりでなく、友人の健康と名誉と財産がよい状態になければ

  幸福になれず、そのうち何か一つでも欠ければ不幸になると聞かされる。

  こうして職務と仕事を手いっぱいに与えられて、朝いちばんからせわしなく働かされる。



  「彼らを幸福にするには何とも奇妙なやり方だ、

  人を不幸にするのにこれ以上見事に、何ができるだろう」と、おっしゃるか。

  「何ができるだろう」ですって。

  以上の気苦労を彼らから取り去るだけで結構。

  そうなれば、彼らは自分を見つめ、自分が何であり、

  どこから来て、どこに行くかに思いを向けるだろう。



  こうしていくら彼らを忙殺し、彼らの気持ちをいくらそらしても、それで十分ということはない。

  だからこそ、あれほど仕事の予定を入れたあげく、少しでも暇があると、

  その時間を気晴らしと娯楽に当てて、いつもすべての時間を埋め尽くすように

  助言されるのだ。



  人間の心は何と空っぽで、汚濁に満ちていることか。



○人間の最大の悲惨|「気晴らし」なしではいられないこと

○自分の専門に閉じこもることを拒否するオネットム(紳士・教養人)の普遍性


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手段のことばかり考えて
目標に目を向けない人間

パスカルが1645年に発明したとされる機械式計算機
Pascaline(パスカリーヌ)


※193 先入観は誤り導く 人間の認識から神への移行
 「パンセ」 パスカル 塩川徹也 岩波文庫 2015 p235-236


  あらゆる人が手段のことばかり考えて、

  目標に目を向けようとしないのは、嘆かわしいことだ。

  誰でも自分の職分をどのように果たすかは考えるが、

  職業や祖国の選択については、運まかせだ。

  あれほど多数のイスラム教徒、異端者、異教徒たちが、

  それぞれ先祖代々の生き方が最良だという先入観を植え付けられ、

  ただそれだけの理由で、その生き方を踏襲するのは、憐(あわ)れむべきことだ。

  そして各人が、錠前屋や兵士といった、それぞれの職業を選ぶのも同じことなのだ。

  だからこそ未開人たちには、プロヴァンス(フランスに併合された地域)など無用なのだ。



○平安で平等な社会を築く意志|世界に広がるイスラーム

○人類から遠く離れた孤独の中に住む 世界の本質


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参  考  情  報


○横浜市 資源循環局 トップページ

○京浜港湾事務所|国土交通省関東地方整備局

○建設グラフ

○廃棄物と資源循環|東京都環境局

○横浜港埠頭株式会社

○一般社団法人 日本アスファルト協会

○(公社)日本水環境学会

○横浜の歴史 タイムスリップよこはま

○株式会社NIPPO

○J-POWER | 電源開発株式会社

○パブリックドメインの写真 - フリー写真素材

○フリー百科辞典Wikipedia

○第10回 旭工場ふれあい見学会 2016.11
 横浜市環境循環局

○資源循環型ごみ処理施設 旭工場 横浜市資源循環局

○きれいなまちに2016 (平成28年度 横浜市資源循環局)

○横浜市一般廃棄物処理基本計画
 ヨコハマ3R夢(スリム)プラン 第2期推進計画 平成26年4月

○生ごみの削減と、土壌の回復が可能な土壌混合法

○横浜港南本牧本牧ふ頭地区臨港道路 現地見学会 2016.11
 国土交通省 関東地方整備局 京浜港湾事務所

○JX日鉱日石エネルギー根岸製油所 見学会 2015.08
 日本船主協会

○過去に学び、これからの環境保全を考える講演会 2016.11
 ・開会挨拶
  大熊洋二 先生 横浜市環境創造局長
 ・石炭火力と環境
  小谷十創 先生 電源開発株式会社 磯子火力発電所 所長
 ・過去に学びこれからの環境保全を考える
  〜公害防止協定締結半世紀を契機として〜
  猿田勝美 先生 神奈川大学名誉教授
 ・会場 横浜シンポジア
 ・横浜市環境創造局・横浜市環境保全協議会

○第15回 石炭投資促進セミナー 2016.12
 一般炭価格と原料炭価格の現況と見通し〜短期予測の重要性〜
 講演者 三田真己 先生 アーガス・メディア・リミテッド日本支局 代表者
 会場 虎ノ門ツインビルディング
 主催 独立行政法人 石炭天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

○横浜の環境 かけがえのない環境を未来へ
 横浜市環境創造局政策課

○第32回かわさき科学技術サロン 2016.11
 日本のエネルギー政策と水素エネルギーの展望 内田裕久 先生
 潟Pイエスピー代表取締役・東海大学工学部 原子力工学科 教授

○第33回全国都市緑化よこはまフェア 2017年3月25日-6月4日

○海から見る東京港 東京港探検クルーズ 2016.08
 竹芝小型船ターミナル、視察船 新東京丸
 日本船主協会・東京都港湾局

○第14回シンポジウム「東京湾の水環境の未来像を考える」 2016.12
・講演
 ・閉鎖性海域における最近の環境政策について
  根木桂三 先生 環境省 水・大気環境局 水環境課 閉鎖性海域対策室長
 ・東京湾の水環境〜長期的変遷
  風間真理 先生 環境カウンセラー 元東京都環境局水環境課
 ・山下公園前海域の水質浄化に向けた公民連携の取組
  田邉孝二 先生 横浜市環境科学研究所
 ・鉄鋼スラグ製品を用いた海域環境改善の取り組み
  宮田康人 先生 JFEスチール株式会社 スチール研究所
 ・お台場環境教育推進協議会の活動 ―お台場をふるさとの海に―
  森田健二 先生 お台場環境教育推進協議会 事務局
 ・第二期東京湾再生行動計画の指標設定から見えてきた今後の課題
  岡田知也 先生 国土交通省 国土技術政策総合研究所 海洋環境研究室 室長
 ・東京湾の水環境に関する共同研究プロジェクト
  中村由行 先生 横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター センター長
・パネルディスカッション
 東京湾の望ましい将来像とは、それに向けて何ができるのか、
 新たな協働の仕組みは?
 ・コーディネーター
  中村由行 先生 横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター長
 ・パネーラ 講演者
・会場 横浜市開港記念会館
・主催 横浜国立大学統合的海洋教育・研究センター
・後援 横浜市、海洋都市横浜うみ協議会
・助成 日本財団

○第5回シンポジウム リスク手法の有効性と課題を考える 2016.12
 ・水素エネルギーキャリアへの適用
  横浜国立大学 先端科学高等研究院 副研究院長 教授 三宅淳巳 先生
 ・定量的リスク評価の有効性と課題 原子力システムへの適用
  (国)日本原子力研究開発機構 研究副主幹 高田孝 先生
 ・防災へのリスク論の適用 自然防災対応への適用
  三菱総合研究所 科学・安全事業本部 主席研究員 石井和 先生
 ・パネルディスカッション「社会リスクの最適化を目指して」
 (パネラー)
  法政大学客員教授 宮野廣 先生
  (国)日本原子力研究開発機構 研究副主幹 高田孝 先生
  (株)三菱総合研究所 科学・安全事業本部 主席研究員 石井和 先生
  横浜国立大学 先端科学高等研究院 副研究院長 教授 三宅淳巳 先生
 (コーディネーター)
  リスク共生社会創造センター長 野口和彦 先生
 ・主催
  横浜国立大学 リスク共生社会創造センター、
  横浜国立大学 先端科学高等研究院
 ・協賛
  特定非営利活動法人 安全工学会、高圧ガス保安協会、
  一般社団法人 日本原子力学会、一般社団法人 日本高圧力技術協会、
  株式会社 三菱総合研究所、 NPO法人 YUVEC
 ・会場 横浜情報文化センター

○多角的リスクのマネジメント 2016.11
 ・1931年イギリスの政治経済危機:マクドナルド
  労働党内閣の倒壊と挙国一致内閣の成立
  松永友有 先生 大学院国際社会科学研究院 教授
 ・戦争とは何か?その歴史的・科学的考察
  鎌原勇太 先生 大学院都市イノベーション研究院 専任講師
 ・株価バブルのメカニズム:バブルの早期発見と対応策を考える
  鈴木雅貴 先生 大学院国際社会科学研究院 准教授
 ・バブルと金融危機
  高橋正彦 先生 大学院国際社会科学研究院 教授
 ・阪神淡路・東日本大震災から学ぶべきこと−再発防止から未然防止へ−
  野口和彦 先生 大学院環境情報研究院 教授
 ・高齢社会は危機かチャンスか
  関ふ佐子 先生 大学院国際社会科学研究院 教授
・主催:横浜国立大学 公開講座委員会
・共催:読売新聞横浜支局

○パンセ(上) パスカル 塩川徹也(訳) 岩波文庫 2015


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