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キスによって覚醒する瞬間 ピュグマリオンとガラテア |
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| キスによって覚醒する瞬間 | ピュグマリオンとガラテア | 彫像から生の人間へ | | 絵画の中の象徴 | 「ヴィーナス」「ウェヌス」「アプロディテ」の違い | | ジャン=レオン・ジェローム | マイフェアレディ | ピグマリオン効果 | 野上弥生子 | 参考情報 | |
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この時、アプロディテの信者は、 女神にお礼を申すことに気がつきました。 |
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キスによって覚醒する瞬間 | |||
ピュグマリオンとガラテア(ジャン=レオン・ジェローム) 1890年 ニューヨーク・メトロポリタン美術館 |
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※『ギリシヤ・ローマ神話』トーマス・ブルフィンチ 野上弥生子訳 岩波新書より ピュグマリオンは、その口に接吻いたしました。 すると像の口が温かいような気がしました。 ピュグマリオンはもう一度唇を押しあてて、その手足をかき抱きました。 この時、アプロディテの信者は、女神にお礼を申すことに気がつきました。 そうして自分と同じく生(せい)あるものとなった 処女(おとめ)の唇にその唇を押し当てました。 処女(おとめ)は接吻されると顔を赤くして、 おどおどした眼を明るみに見開きながら、 じっと恋人となるピュグマリオンを見つめました。 ○接吻という親密な行為が最悪の裏切り手段となる「ユダの接吻」 ○ギリシア神話に登場する吟遊詩人「オルフェウス」 |
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『ギリシヤ・ローマ神話』トーマス・ブルフィンチ 野上弥生子訳 岩波新書 P100〜102 | |||
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ピュグマリオンとガラテア | |||
Louis Gouffier作 | |||
キプロス島の王であるピュグマリオンは、 周りにいる現実の女性に幻滅し、ずっと独り身で過ごしていました。 優れた彫刻家でもある王は、 自ら理想の女性の姿を象牙で彫り始め、 いつしか、創り上げたその女性像に恋心を抱くようになります。 そして、彫刻のような女性がいつしか私のもとに現われるますよう、 愛と豊穣(ほうじょう)の女神ウェヌス(ヴィーナス)に祈るのでした。 ○海から生まれた「ヴィーナスの誕生」 |
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古代ローマの詩人オウィディウスの『変身譚(変身物語)』 | |||
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彫像から生の人間へ | |||
台座にたつ女性ガラテアの足元はまだ象牙の白い彫像のままですが、 ピュグマリオンとの口づけによって、 そのしなやかな腕から大きくカーブを描いた背中へ、 徐々に赤味がさし始めています。 |
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絵画の中の象徴 | |||
画の中では、 抱き合う二人をクピド(キューピット)の矢が狙っています。 そして、床に置かれた楯は「純潔」を表し、それが忘れ去られています。 また、壁に立てかけられた二つの仮面。 仮面は変装の道具でもあることから、 欺瞞(ぎまん:だますこと)を表しています。 ピュグマリオンは本来人間でないものを愛したのだそうです。 |
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「ヴィーナス」「ウェヌス」「アプロディテ」の 違いは? |
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ウィリアム・ブーグロー ヴィーナスの誕生(1879年) オルセー美術館 | |||
ヴィーナスはローマ神話に登場するウェヌスという女神の英語読み。 ギリシャ神話でウェヌスにあたるのはアプロディテ。 また、ギリシャ神話で登場する全能の神ゼウスは、 ローマ神話ではユピテルにあたり、英語ではジュピターというそうです。 ○ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」 ○ウィリアム・ブーグローの「ヴィーナスの誕生」があるオルセー美術館 ○アンドレア・デル・ブレシアニーノの 「ヴィーナスとキューピット達」があるボルゲーゼ |
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ウィリアム・ ブーグロー |
アンドレア・デル・ ブレッシアニーノ |
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ジャン=レオン・ジェローム | |||
ジャン=レオン・ジェローム(Jean-Leon Gerome, 1824.5.11 - 1904.1.10)は フランスの画家・彫刻家。 代表作としてオルセー美術館にある『闘鶏』、 また、『奴隷市場』・『ハレムからの逃走』などは、 歴史的な背景の上にリアルな女性の姿に驚きます。 また、『ナポレオンのカイロ入城』やプロセインの『フリードリヒ大王』など、 征服者を描いた作品を残しているそうです。 作品にご興味のある方はこちらのサイトをご覧下さい。 ○Jean Leon Gerome Complete Works |
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オードリ・ヘップバーンの マイ・フェア・レディ |
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オードリ・ヘップバーン主演の映画『マイ・フェア・レディ』は、 この物語を題材に作成されてたそうです。 ○映画「ローマの休日」で訪れる「真実の口」 |
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My Fair Lady(1964) - I Could Have Danced All Night | |||
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My fair lady - Audrey Hepburn | |||
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ピグマリオン効果 | |||
心理学で言われている「ピグマリオン効果」の名称は、 ピュグマリオン王の恋焦がれた女性の彫像が、 その願いに応えたアプロディテ神の力で人間化したと言う 伝説に由来しているのだそうです。 ピグマリオン効果というのは、 人に対して期待することによって学習者の成果が向上すること。 逆に期待しないことによって成果が下がることを ゴーレム効果と言うそうです。 ○「事実に基づく事を阻害する要因 認知バイアス」 |
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ギリシヤ・ローマ神話を訳した 野上弥生子さん |
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上の文章「キスによって覚醒する瞬間」にて引用した、 『ギリシヤ・ローマ神話』トーマス・ブルフィンチを訳した野上弥生子さん。 当サイト「Beautiful Life」内にある ○相田みつを美術館を鑑賞して作ったエッセイ 「今を生きる」 の中でも引用させて頂きました。 ○野上弥生子さんの言葉 生まれるのは誰でも生まれる。死ぬのは誰でも死ぬが、 生きるということだけは、これは千人が千人、万人が万人、 みな違った生き方をする。 |
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参 考 情 報 | |||
○恋する西洋美術史 池上英洋 光文社新書 ○ギリシア・ローマ神話 トーマス・ブルフィンチ 野上弥生子訳 岩波書店 ○ギリシャ神話を知っていますか 阿刀田高 新潮文庫 ○絶頂美術館 名画に隠されたエロス 多摩美術大学教授 西岡文彦 ○Jean Leon Gerome Complete Works ○成城の家--野上弥生子日記より-- |
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