真の収益基盤とは


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1.経営層の通信簿の基本は収益

大手企業の経営層に直接お会いする場面や
経営層がお書きになった文章を見る機会がある中で、
複数企業の経営層が指摘している内容について
共通してる事があるように感じていました。


ここでは、その共通している経営層の視点を考えてみましょう。


経営層は理念に基づきビジョンを策定し、
事業ドメイン設定などの戦略を明らかにし、
実施指示を行っています。

しかし、経営層はどんなに優れたビジョンや戦略があったとしても、
それが収益という形で現れないと、まったく評価されないのだという
事が私なりにだんだん解ってきました。
(まあ、当たり前と言えば、当たり前ですが...)

その為、経営層は必ず収益にどう結びつくのかという
視点で指摘をされています。

2.収益は売上−原価

収益は、損益計算書(P/L)上では、売上高−原価が
総利益(GrossProfit)として表現されています。

この総利益を向上させる為に、打つべき方向性は、

 1.売上高を向上させる
 2.原価を低減させる


の2パターンしかありません。

コンサルティングで対象とするテーマにはいろいろありますが、
突き詰めれば、必ずこのどちらかにつながっています。

多少脱線しますが、私が当業界に入ったのはバブル後で
したので、取り組みテーマは圧倒的に後者の原価低減に
寄与するものばかりでした。


1.売上高を向上させる

 ここでは商品を扱う会社(缶ジュースメーカー)を対象として、
 売上高を分解してみると以下のようになります。

  売上高=単価×数量

  ジュースが1本100円で10本売れたとしたら、
  売上高は1,000円となります。

 売上高1,000円をさらに向上させるには、単価100円を
 上げるか、数量を増やすか、もしくはその両方に手を打つか、
 ということになります。


2.原価を低減させる

 原価を低減させるには、原価を構成する要素によって対策が
 変わってきますが、大きくは固定費と変動費に分けて対策を
 考えます。


3.経営層の視点

 経営層からは突き詰めれば、
 売上向上に寄与する単価と数量がどうなっているのか、 
 原価の低減はどうなっているのか、につながっていると
 思います。

3.経営層の視点を分解してみる

1.ある企業の事例

 ここではある大手企業で私が実際に経験した
 事例をご紹介します。

 当期に入り四半期を過ぎ、前期のうちに策定した
 当期の経営重点目標に対する進捗状況が
 どうなっているのか評価をされる場面の事でした。

 重点目標に対する進捗状況の詳細レポートは
 経営企画部にて作成し、そのレポートに基づいて
 経営会議にて評価が行われます。

 経営会議での評価後、経営層より詳細レポートに
 対するポイントと留意点というタイトルで関係者に
 理解の一助とするよう通達がありました。

 その内容をみていると以下のような視点に
 整理することができました。


2.経営層の視点を分解してみる


 1)売上を構成する単価と数量はどうなっているか?

   この企業では、単価UPにより収益向上に寄与
   していましたが、数量は減少傾向にありました。

 2)単価UPができた要因はなにか?

 3)単価UP要因は一時的なものなのか、
   継続的なものなのか?


 4)過去と比べて、当社は何が変わったか?

   なぜ今回は単価UPができたのか、以前はなぜできな
   かったのか、過去と現在の視点で指摘されていました。

 5)数量が減少している要因は何か?

 6)数量減少要因が継続し続けるとどうなるか?

   数量が減れば、製造業であれば固定費が大きいので、
   その固定費分を埋め合わせようと稼働率をあげようとします。
   その結果、製品がたくさん製造されるので、
   仮に需要がなかったとすれば、需要と供給の関係上、
   価格は下落していくことになります。

 7)外部環境が変化している要因は何か?

   これまでにはなかった変化が起きているとの指摘でした。

 8)これまでにない視点からの原価低減に取り組むべき

   現在経営層として方針を固めているところである
   ので、おって指示をする と結ばれていました。

 
4.真の収益基盤とは

 企業は世の中に対して、なんらかの領域で貢献をしています。
 また、企業は限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ...)を活用し、
 理念・ビジョン・戦略・計画を立案し、仕組みと情報システム
 とルールを整備し、付加価値(製品やサービス)を生み出して
 います。

 その付加価値を評価する収益は、売上高と原価の関係で
 成り立っており、売上高の向上と原価の低減につながる行動は、
 結局は「人」が作り出しているのだと私は考えています。

 違う見方をすれば、働いている全ての人が自分の業務に興味や
 希望、やりがいを持って遂行している時が、結果として最大の
 付加価値を生み出しているのです。

 但し、

 各人が自分のやりたい事をバラバラに進めているだけでは
 効果が生まれず、組織である意味(一緒にいる意味)がなくなって
 しまう為、そこには目指すべきベクトルの一致が必要となってきます。


 真の収益基盤とは、

 目指すべきベクトルが共有でき、興味や希望、やりがいを
 もって最大限業務に遂行できる状態

 だと私は考えています。

 ※ベクトル → 理念・ビジョン・戦略・計画